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「本なんて読まなくてもネットで十分」の大間違い。“答え”を出さないことに意味がある

今の時代、立ち止まることが必要だ。

■ サル山でサルが吠えている

 本なんて読まなくてもネットで十分だという人がいる。

 もちろんそれは間違いだ。

 たしかにネットには大量の情報が溢れている。魅力的なものも多い。

 必要な情報をピンポイントで探し出すこともできる。

 だからダメなのだ。

 情報により武装した結果、人間はバカになる。

 ネットでは一番肝心な部分が見えてこない。

 それは答えにたどり着く過程、思考回路の部分である。

 ネットで答えを探すと答えしか見つからない。

 その「答え」を暗記して居丈高になる人たちがいる。ネトウヨもそうだ。

 ネットにはゴミも多い。

 価値のある学説も根拠のない陰謀論も一緒に並べられてしまう。

 今なら、ネトウヨのブロガーが書いたようなコピペ本が書店に平積みになり、彼らが説く「本当の歴史」を読者は暗記するわけだ。

 最近、わかりやすい本が流行っている。

 世の中の森羅万象をわかりやすい言葉で説明してくれる人が持て囃されている。

 複雑なことを複雑なまま説明する本は売れず、とにかくわかりやすい解答を示してくれる本が売れる。

 こうした読者は自分の主張に近い本しか読まない。

 著者の主張を受け売りして、それを覚えて繰り返すうちに、自分の主張と思い込むようになる。それで、ネットなどで反対意見を述べる奴を一方的に罵倒して「論破した」と自画自賛し、温かい世界に閉じこもるわけだ。

次のページバカは結論を出したがる

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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