万国共通の愛情表現「キス」。その絵文字・顔文字にも文化の違いがこんなに出る
絵文字進化論第5回
■ポルトガルで「キス」が多用される理由
キスが日常の挨拶になっている国では、これらの絵文字の外にもキスにまつわる独特な表現がいくつかあります。筆者にとって身近なポルトガルを例にとって、紹介しましょう。
ポルトガルでは会った時・別れる時・お祝いの時など、本当に一日に何回も挨拶のキスが繰り返されます。もちろん、実際に唇にキスをすることはなく、頬を合わせて、キスの仕草を軽くするだけですが、家族や友だちに対して親しみを表すとても大切な行為です。
このようなキスの習慣は、Face-to-faceコミュニケーションではない時には、「Beijinhos(=英語のkisses)」という言葉で代用されます。電話で話を終えた時・メール/メッセージの最後、「Beijinhos(=kisses)」と一言を添えます。親しみをこめた「じゃ、またね!」「バイバイ」のような感覚です。筆者の夫がポルトガル人なのですが、家族との電話やメッセージのやり取りは、必ずこの「Beijinhos」で終わります。
本当によく使う文末表現なので、様々な略記が生まれています。例えば、BeijinhosをBjsのように略したり、SNSでは絵文字で代用したりします。
ほかには、このような星印***を使ったりもします。この星印については、由来ははっきりとわからないのですが、恐らく1990年代から2000年代にかけて流行っていた、チャット文化から来ているものと思われます。
当時、欧米のICQやAIMといったインスタントメッセンジャーでこんな顔文字が使われていました。
:-*
これは、: は目、- は鼻、そして * は突き出した唇を表していますが、ポルトガルの * は、この顔文字が略され唇の部分だけが残ったものと考えられます。ちなみに星印の数はキスの数を表していて、****こんな具合に*の数が増えていくにつれて、キスの数も増えます。