堺市博「豊臣秀吉と堺」展
季節と時節でつづる戦国おりおり第480回
梅雨空のお湿りが続く中、6月22日から再開館した堺市博物館へ。いや、長かったですね。
本来は5月29日から1ヶ月半の期間開催予定だった企画展「豊臣秀吉と堺」。コロナの影響で早いとこ見に行かないとアッという間に終わってしまいます。
同展の目玉は経年による劣化や傷みの解体補修から生還?した「聚楽第行幸図屏風」(同館蔵)です。解体過程で裏打ちの紙をはがした段階で顕れた本紙裏の漢数字番号によって、この図屏風が本来六曲一双(十二扇)だったものが途中で右一隻(六扇)が失われて六曲一双(六扇)となり、さらに二扇無くなった現在の四扇になってしまったことが判明するなど、今まで知らなかった新しい発見があります。失われた右隻には何が描いてあったのか、消えた左隻の二扇にはどんな景色が広がっていたのか、知りたい方は展示と図録で合理的に推測されていますので、ぜひ足をお運びになるか、図録を取り寄せてご覧になってみて下さい。
他には秀吉所有の「北野茄子茶入」や伝・明智光秀所有の「坂本井戸茶碗」など、名茶器の数々も展示されています。北野茄子の色っぽい地肌もたまらないし、坂本井戸の金継ぎがまた何とも言えず良い雰囲気なんです。最近は金継ぎをセルフでできるキットのムックが本屋さんで買えたりもしますが、本当に自分でやってみたくなりますね。
こうした茶器の売買にも戦国時代の堺は関係しており、京・大徳寺から千利休が圜悟(えんご)の墨跡を金子28枚(小判にして280枚、現在の価値に換算すると5600万円程度!)で買い取った領収証も展示されていますよ。
あ、堺市博前には茶湯の巨人・千利休と、その師匠とも言われる武野紹鴎のふたりの像が向かい合っておられますので、ぜひそちらにもご挨拶を。