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「ドロップゴール」を知れば、ラグビー通に一歩近づける。

「ラグビーのオモロイ観方」第6回

■縦の攻撃と横の攻撃を組み合わせて、相手のスペースを空けられるかが鍵

福田 得点方法は「トライ」か「ゴールキック」の2つしかないことはわかりました。それでは、次に今回の本題である、攻撃の基本戦術を教えてください!

大西 「トライをとる」という第一目標から逆算して考えてみましょう。トライをとるためには、ボールを持って相手陣に攻め込まないといけませんよね。じゃあ「ボールをキープしつつ前進する」ためには何が必要か?

福田 うーん…ふつうに攻撃しても跳ね返されそうだし。ラグビーってディフェンスがズラって揃ってるじゃないですか。

大西 そうです。相手のディフェンスが整備されている所に無策に攻撃すれば、たちまち行く手を阻まれボールを奪われてしまいます。

福田 なんとかしてディフェンスを乱せればいいよね…あっ穴を見つければいいのか!

大西 いいですね! そして穴は見つけるのではなく、つくりましょう。そのために必要なのは「ストレッチ」すること。ディフェンスラインを狭めたり、広げたりするのです。

福田 なるほど。縮めれば、外に穴があく。広げれば、内に穴があくということでしょうか。

大西 そういうことです。攻撃側はそのために「ラン」、「パス」、「キック」という3つのオプションを駆使します。たとえばまっすぐ強いランナーを当てて、ディフェンスを集めて縮める。次の攻撃でパスをつないで外に展開して広げる。またキックを相手ディフェンスの奥に蹴って、ディフェンスラインを“縦に”広げる…といった具合です。

福田 3つのオプション…じゃんけんの手のみたいだなあ。

大西 じゃんけんというのはいいたとえですね。相手の陣形を見ながら手を変えていき、ディフェンスをストレッチしていく。このような基本的な戦術をベースにした上で、各チームは自分たちの強みを活かした作戦を考えているのです。

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大西 将太郎

おおにし しょうたろう

ラグビー元日本代表、解説者。

地元東大阪市の布施ラグビースクールでラグビーを始め、啓光学園高3年で全国高校大会準優勝。高校日本代表では主将を務め、スコットランド遠征全勝の快挙を達成。ジャパンラグビートップリーグ(リーグ戦)は通算143試合に出場。2007~08シーズンは「ベスト15」、「得点王」、「ベストキッカー賞」の三冠に輝く。日本代表には同志社大4年時(2000年)に初選出、以降、2008年のサモア戦まで通算33キャップ(試合)に出場。2007年ワールドカップフランス大会のカナダ戦では終了直前に同点ゴールを決め、12-12と引き分けながらも日本代表のワールドカップ連敗記録を13で止めた。 2016年現役引退。現在はJSPORTSやWOWOWのラグビー解説者として、また2019年ラグビーワールドカップの認知活動および、ラグビーの普及活動のため全国をまわっている。


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