江戸後期、日本は世界一の識字率を誇った!「寺子屋」が果たした大きな役割
有名中学入試問題で発見する「江戸時代の日本」④渋谷教育学園幕張中学校〈前編〉
■寺入り当日はさながら入学式
当日、子供は母や乳母など女性に付き添われて寺子屋へ。
持参物は、
・文机
・練習帳
・筆
・硯
・硯箱
・墨
・筆入
・雑巾
・他の生徒たちへの御菓子
・柄樽(黒か朱塗りで、二つの高い角のような大きく高い柄をつけた樽。お酒を詰めて持参)
・お赤飯
・お煮染め(当然、そのお重は堺重など有名な塗り物で高価)
本人は、
・麻裃
を持参します。
そして師匠も他の生徒達も全員麻裃で着座すると、お赤飯や菓子盆を廻して順に盃を飲み、師弟の契りを結びます。最後に三番能と高砂を唄い、入門儀式は終了。これが正式な寺入りです。
江戸中期、寺子屋はまだまだ裕福な家でなければ通うは難しいものがありました。
そうでない家の子は、大家や名主。地方や農村では地元の医者や僧侶などに、読み書きそろばんを教えてもらっていたのです。
しかし寺子屋が激増した江戸後期以降は「払えない家は束脩は免除するが、生徒達への菓子は必須(煎餅や餅菓子で可)」など簡略化されたので、貧家の子も通うようになって識字率が更に上がり、冒頭の数字となったというわけです。