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大坂城三ノ丸跡

季節と時節でつづる戦国おりおり第369回

 3月23日、大阪市中央区大手前三丁目でおこなわれた発掘調査現地説明会のレポをしておきましょう。

 3年後に竣工予定の大阪第6地方合同庁舎の建設予定地で、大阪市立歴史博物館・NHK大阪放送局の北西隣りとなります。このあたりは豊臣時代大坂城の三ノ丸推定地の内で、府警本部の西側。記憶が確かであれば、府警別館や府庁別館があった場所だと思います。

 

 写真正面が東で、建物は府警本部です。この部分は発掘現場の東南角にあたり、礎石や柱の跡が整然と並んでいるのがわかります。

 

 パノラマによる全体写真。正面が北です。一番奥の北側が一段高く、その手前が中段、右側が一段低い下段。土地が三段のひな壇構造に造成されています。 

 

 この写真の、左のショベルカーの下あたりに、玉石を敷き詰めた跡があります。上段から板塀が続く横にあるので、排水の衝撃を玉石で受け止めるためだったか、あるいは手水鉢・ししおどしなどの庭園設備があったものか。

 

 発掘された軒丸瓦。「扇に月丸」の紋があしらわれているため、この場所が佐竹義宣の屋敷だった可能性が高いと考えられています。

 佐竹家屋敷についてはこの現場一帯にあたる城の大手前に存在したという説があるのですが、後世に作成された記録によるものなので信用性に欠ける、と指摘されていました。

 しかし、こうして実際に佐竹家の紋の瓦が出てきたところを見ると、後世の史料であっても意外とその情報確度は高いのかもしれません。今後の成果を待ちたいところですね。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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