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大坂夏の陣・道明寺口と誉田の戦いをめぐる⑧玉手山公園の碑

季節と時節でつづる戦国おりおり第370回

 玉手山一号墳のある小松山から南へは、いくつかの産地が連なり、地形が起伏して続きます。それを南へ移動していくと、柏原市立玉手山公園に行き着くのです。住宅地のなかに突然入り口が現れるので、知らない方はちょっと迷うかも知れません。

 この公園、かつては近鉄が経営する遊園地でした。現在も当時のミニ動物園やショースペースの施設が老朽化したまま残っており、廃墟(?)マニアにはたまらないスポットです。無料開放ながら、夕方には閉園して入れなくなるのが難点でしょうか。
 その山頂付近にあるのが、この石碑。

 

 

 後藤又兵衛基次の顕彰碑です。その左隣りにも、うずくまるように小さい石碑があります。

 

 吉村武右衛門(ぶえもん)の碑。黒田家時代からの後藤又兵衛の同僚で、又兵衛とずっと行動をともにし、最後は大坂夏の陣道明寺口の戦いで又兵衛を介錯し、その首を田の泥に埋めて隠した人物です(『難波戦記』)

 まさに長年の親友と言って良いふたりが、この玉手山の地で今も並びながら古戦場を眺めているかと思うと、感慨深いものがありますね。

 

 碑のあたりから東の国分あたりを遠望すると、かつてこの地を埋めた幕府軍を見下ろして武者震いしていたふたりがしのばれます。

 

 近くには、大坂夏の陣での東西両軍戦死者の慰霊碑も建てられています。
深く頭を垂れたところで、今回のツアーは終了となりました。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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