なぜイランで、人前でプロポーズした男女が逮捕されたのか!?
えらてん×中田考の ビジネスに役立つ「宗教入門」 〈第1回〉
■「イスラーム=野蛮」キャンペーンの一環⁉
えらてん:6割の人が内心で政権に批判的ということは、この事件は政権にダメージを与えるんでしょうか?
中田:いや、そんなにないと思います。ルーホッラー・ホメイニによる1979年のイラン革命以降、ずっとこんな感じですから。
えらてん:多くの人は内心で「うるさいなあ」と思いつつ、革命前の皇帝による専制よりはマシだと思っていると。
中田:うんうん。もともとイラン人って、革命前は田舎を除いてアメリカみたいな生活をしていた人たちですからね。
えらてん:ええ! そうなんですか。
中田:ただ皇帝が独裁的で酷かったので、革命を起こしたホメイニは凄く評価をされた。ただ革命前の皇帝の専制を知らない若い人たちが増えているのは問題ですけれど。でも、この事件くらいではイラン人の気持ちは揺るがないでしょう。プロポーズで逮捕された2人もすぐに釈放されましたしね。
えらてん:微罪逮捕みたいなものですかね。見せしめというか。
中田:イランにも強硬派がいますからね。ですから、まあ、大した話ではないんですよ。いつも欧米では騒がれますけれど。
えらてん:「イスラーム文化圏は野蛮だ!」という観点で取り上げられがちですよね。日本人から見ても、「また危険な中東という場所で怖いことが起こった」みたいなイメージですけど、実際はイラン、シリア、サウジアラビアでは全然違う。
中田:要するに、我々の常識で考えてはいけないということですね。日本だって女性の地位は欧米よりもはるかに低い訳ですし。
国連の今年の発表では女性閣僚比率で日本は188カ国中171位で、164位のイランと中国よりも低いですからね。
えらてん:結局、この一件は欧米と日本の反イスラムキャンペーンの一環かもしれませんね。「我々先進国に比べて野蛮なイランはけしからん!」みたいな。