いにしえより伝わる 主な夏祭りの〝系譜〞を知る
夏祭りは夏の行事の〝華〞。 主に3種の系統がある
夏祭りは〝系譜〞を知ればさらに楽しい!
毎年、夏になると各地で開催される夏祭り。國學院大學大学院 客員教授の新谷尚紀さんは、「夏祭りは暑い時期に疫病などが流行らないよう祓い清めることを目的にしたものが多く、疫病は人口密集地域で流行りやすいことから、農村よりも都市部が中心。都市型の祭りなんです」と話す。その代表が祇園祭だ。祇園祭は京都・八坂神社発祥の祭りで、貞観11年に京の都で流行した疫病の収束を願って神に祈りを捧げた祭礼から始まった。現在では各地に勧請された祇園社で様々な祇園祭が開催されており、夏祭りの“一大勢力”となっている。
「祇園祭の根幹は不浄を祓い清める禊。同じく、各地の七夕祭りもお盆に備えて汚れを祓い清めるという目的があり、先述の娯楽と宗教的意義が表裏一体の典型です。七夕祭りは祇園祭のようにひとつの祭りから派生したものではなく、各地にそれぞれのルーツを持ち、地域色が豊かなのが特徴です」
その、七夕に続く夏の行事のハイライト、“お盆”に関連する盆踊りもまた、全国で多彩な種類が催され、夏祭りの一形態として人気を博している。
「徳島の阿波踊りは代表例です。祭りは宗教行事のひとつですが、基本は庶民が楽しむためのもの。理想は、現地で熱気と興奮を体感することですね」
① 七夕祭り系
中国発祥の“星祭り”をルーツとする七夕は、日本で独自の発展を遂げた後も祭事としての性格を色濃く残す。全国的に有名な仙台の七夕祭り(写真)ほか、青森のねぶたや秋田の竿かん燈とう祭りも、七夕の祭りとして人気を誇る。
② 祇園祭系
日本の夏祭りの原点となるのが、夏季の疫病祓いを目的とした祇園祭。祇園祭は全国で催され、千葉県・成田山新勝寺の成田祇園祭(写真)や福岡県・櫛田神社の博多祇園祭山笠など、多くの祇園系祭が日本の夏を賑わせている。
③ 盆踊り系
お盆行事の一環として始まった盆踊りは地域ごと、多彩に発展。その多くは“夏祭り”として全国区で親しまれている。なかでも徳島の阿波踊りは独特の踊りや、街全体が総出で開催する華やかさで国際的な人気を集めている。