父に胃ろうを造るべきか。胸がキリキリ傷んだ、たったひとりの決断。
【隔週木曜日更新】連載「母への詫び状」第四十回
■延命治療をすべきか、どうか。
〈連載「母への詫び状」第四十回〉
父が脳出血によって意識のない状態になり、家族として延命治療の選択に直面した。
延命治療にも様々あるだろうが、まず医師に質問されたのは「もし心肺が停止したら、蘇生措置を行うかどうか」だった。
ぼくひとりで決めていい事柄ではないと自覚しつつ、さすがにこの蘇生措置は不要だと思った。たとえ父が今、死んだら、入院中の母が葬式に参列できないという不都合があるとはいえ、それを理由に意識のない父の蘇生をお願いしたいとは思わない。
そもそも父がベッドの上で人工呼吸器をつけられ、生かしてもらえている状態がすでに延命治療だろう。この現状を積極的に止めて欲しいという気持ちはないが、今後の心肺停止に抗うつもりはない。
家族の意見をまとめておいて欲しいと言われたので、母や兄弟にも相談した。