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ついでながらの駿府城

外川淳の「城の搦め手」第104回

 本来は城を見に行ったついでに、銭湯に入浴すべきところ、近年は入浴のついでに城に寄り道することが多くなった。
 最近も、余裕のないスケジュールの隙間を縫って、静岡市内の銭湯へ。その途中、駿府城の堀端を歩いた。

ビルの窓に映る駿府城坤櫓
光線の加減で窓に建物が写りこむことはあるものの、これほど明瞭な写りのカットは貴重?

 お目当ての銭湯に無事入浴。かつて前を通過した時は、主催する歴史探偵倶楽部の講師として先頭に立っていた。
 参加者たちから、「私たちが浅間神社を参拝している間、先生は入浴したら」と言われ、お言葉に甘えようとしたが、さすがに断念した過去があった。
私はじつは、銭湯では料金を支払ってから10分後には店を出ることができる、秘技「カラスの行水」の達人である。
 ただし、この秘技をお店の方に無断で使用すると、驚かれてしまうため、手短に事情を説明する必要がある。
その時間も含めての10分となると、湯船に浸かっていられるのは1分にも満たない。
 秘技「カラスの行水」を福井県敦賀市の銭湯で使用。お店を出るとき、珍しく私よりも若い女将さんが一言。「今度お越しの折には、ごゆっくりと!」

浅間神社近くの銭湯
画面左端中央に社殿を入れ込む。そのため、アンジュレーションのきついカットとなる。営業継続は奇跡。奇跡の継続を祈念。

 静岡駅への帰り道には城の真ん中を突っ切る。その途中、駿府城の天守台を再建するため、土盛りのための土木作業が進行していることを知る。
 明治維新以後の駿府城は、軍隊の駐屯地として活用された。そのため、二の丸の石垣と堀のラインは、境界として利用された一方、本丸のラインは石垣が崩されて平坦化された。
 城内では発掘調査が行われ、失われた本丸の景観が復元されつつある。その流れから天守再建が策されているのだ。

工事中の天守台 まずは基礎の土壇が築かれ、石垣の造営という流れになるのだろう。

 城の再建には批判的な見解を抱いているため、期待感はなく、お手並み拝見といった感慨しかない。

 駿府城、再建へ向けての行政的見解については下記を参照。

http://www.city.shizuoka.jp/000_004844.html
 

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外川 淳

とがわ じゅん

1963年、神奈川県生まれ。早稲田大学日本史学科卒。歴史雑誌の編集者を経て、現在、歴史アナリスト。



戦国時代から幕末維新まで、軍事史を得意分野とする。



著書『秀吉 戦国城盗り物語』『しぶとい戦国武将伝』『完全制覇 戦国合戦史』『早分かり戦国史』など。



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