本こそが最強のメディアだ。話題の書籍要約サービス「フライヤー」創業者が語る
大賀康史氏インタビュー<前編>
■フライヤーの原点
私は大学卒業後、アクセンチュアというコンサルティング会社に入社しました。毎日終電を逃すようなハードな働き方をしていましたが、上司からは忙しい中でも多くの情報に触れるように言われていました。毎日日経新聞を読んで、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済、ハーバードビジネスレビュー…そういった雑誌も読む。さらにいま話題のビジネス書にもすべて目を通しておく。それぐらいやらなければ一流のコンサルタントにはなれないぞと。
そうした環境でぼんやりと「スキマ時間でトレンドをキャッチアップできたらいいな」という思いを持っていたのです。
サービスの内容は本好きの同僚との雑談の中で固まりました。ぱっとアイデアがおりてきたというよりも、会話の自然な流れの中でですね。本の要約を1冊10分ぐらいで、最新のテクノロジーにのせて伝えることができればきっと必要としてくれる人はたくさんいるんじゃない? という話になったのです。2013年のことで、ちょうどスマートフォンがどんどん普及していくタイミングでした。
■なぜ「要約」モデルを思いついたのか
さきほど会話の流れの中で…という話をしましたが「要約」というアイデアに関しては私自身の経歴が関係しているかもしれません。
私はもともと理系でして、大学時代は自動車用のエンジンを研究していました。所属していた研究室の卒業生は日産やトヨタに行くようなところです。ということで当時読むのはもっぱら論文だったのです。論文ははじめに要約がついています。まずそのセクションを読んで内容をぱっとつかんで、この論文を最後まで読むかどうかジャッジする。
自分の中では最初に要約に目を通してから読む、という行為がごく自然なことだったんです。
また創業時に調べたのですが、要約サービスは海外ではすでに市民権を得ていました。1千万人以上のユーザーがいる「getAbstract」があり、日本にはまだないものの世界的にはニーズがあるとわかったんです。最近ではビジネス書を中心とした要約を配信する「Blinkist」というサービスも伸びていますね。
- 1
- 2