生きづらさを抱えるきみへ ~逃げ道はいくらでもある~ #withyou
日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」をつけて発信。
新生活が始まる中、「学校に行きたくない」「死にたい」といった悩みを抱え苦しむ人に、著名人たちが「自分も学校にいかなかった」「自分も不登校生活をしていたけど、今はしっかりと生活できている」「学校に行くだけがすべてじゃない」「好きなことをずっとやり続けていれば大人になっても暮らしていける」といった“安心できる”提案を本の中ではしています。学校や友達付き合いに悩んでいる人に“学校に行きたくなければ行かなくても全然大丈夫”“今の時代、生きていく道はたくさんある。自ら死を選ばないで”という輪を広げていくことをいちばんの目的とした一冊です。
『生きづらさを抱えるきみへ』に書かれているのは、成功した人の物語ではありません。どうやって逃げたか、どうしたら逃げられるのか、その方法を集めた、ちょっと変わった本です。
学校や普段の生活に生きづらさを感じている人のために、どんな情報が必要か考えた時、たどり着いたのが「逃げ方を集めること」でした。逃げるという言葉には後ろ向きな印象を持つ人がいるかもしれません。本当にそうでしょうか? 今の環境を当たり前だと思わず、自分に合った物差しを探すため、いったん離れようと動いてみる。これは、とても前向きで創造的な行動です。
逃げるためには準備が必要です。まず逃げてもいいということに気づかなければいけません。他の人と違う行動をすることに抵抗をおぼえるのは、当たり前の感覚です。この本を読めば、世の中、多少、逃げたって何とかやっていけるかもしれないということがわかると思います。
『生きづらさを抱えるきみへ』の中には、たくさんの逃げ方が紹介されています。テレビで活躍している人の意外な過去に驚くかもしれません。教室から抜け出しユーチューバーとして活躍している人もいます。どれも読み応えのある話ばかりですが、まねする必要はありません。紹介しておいて無責任に聞こえるかもしれませんが、大事なのは、逃げるという選択肢の存在を知ってもらうことです。
サッカーだと聞いていたのに、その試合が勝手にバスケに変更されていたら、プレーしていても面白いはずがありません。反則ばかり取られて、チームからは孤立するでしょう。でも、それって出る試合を間違えているだけで、約束通りサッカーの試合をしてくれていたら、活躍できたかもしれません。そんな時、試合が終わるのを待つだけでなく、グラウンドを飛び出したっていいんです。だって約束が違うのだから。隣のフィールドでは、足りないメンバーを待っている仲間がいるかもしれません。
でも、試合をしている最中は、目の前のボールしか見えないものです。一生懸命、追いかけようとすればするほど歯車がかみ合わなくなっていく。そんな時、コートの外に目を向けてください。「ちょっと、そこのあなた! 出る試合、間違っているよ!」と手を振っている人がいるかもしれません。
本に登場する逃げた人たちには共通点があります。それは、誰かを頼っていることです。身近な人に助けられた人もいれば、会ったこともない人が投稿したツイッターの文章に救われた人もいます。頼るという言葉からは、大げさな印象を受けるかもしれませんが、そんなに難しく考える必要はありません。「このゲーム何か変だな?」と思った時、顔をあげて周りを見渡す。それをするかしないかの違いでしかありません。
いつでも逃げ出せることを知ったなら、昨日と同じような生活が続いたとしても、何も変わっていないように見えても、それは、すでに、大きな一歩を踏み出しています。
そして、本当に逃げようと思ったら、この本に載っている相談窓口に連絡してみてください。窓口はたくさんあります。もし、最初に連絡したところがピンとこなかったら別の窓口に変えてみてください。誰かに話をすることで、自分でも気づかなかった悩みの正体が見えてくることがあります。
世の中には色々な逃げ方があります。自分一人の頭では考えつかないヒントがたくさん転がっています。本に出てくる逃げ方はその一例に過ぎません。色んな逃げ方を知ることで、自分なりの逃げ方を探し出すきっかけが見つかるはずです。
一緒に「正しい逃げ方」を見つけにいきましょう。
withnews 編集長・奥山晶二郎
【担当編集から】
そもそも『生きづらさを抱えるきみへ』を作ろうと思ったきっかけは「#withyou」の記事を読んだことから。自分自身、子供を持つ親として、いじめや虐待などに感心を持っており、日々の悲しいニュースに心を痛めていました。この「#withyou」に掲載されている、いじめや不登校に関する記事からは“学校に行きたくなかったら行かなくても全然大丈夫なんだよ”という“前向き”なメッセージが伝わって来たのです。このメッセージを一人でも多くの人に伝えたいと。
不登校を経験した方は記事の中で口々に「学校に行かなかったことは決して間違いじゃなかった」と言っています。その言葉の通り、社会人となってタレント、シンガーソングライター、漫画家、放送作家などなど、各方面でご活躍されているのです。
僕が『生きづらさを抱えるきみへ』を通していちばん伝えたかったことが、「どうか“自死”を選ばないでください」ということです。
それを踏まえ、樹木希林さんの
「9月1日がイヤだなって思ったら、自殺するより、もうちょっとだけ待っていてほしいの。あなたを必要としてくれる人や物が見つかるから」
というメッセージを帯に記しました。
僕自身、いじめられた経験はありません(もちろんいじめた経験もありません)。不登校の経験もありません。そんな奴に「今いじめられていて死にたい自分の気持ちが理解できるか」と思われる方がいるかも知れません。
当然です。経験していない自分には理解できないことも多いと思います。しかし、この本に掲載させていただいている「いじめ・不登校」の経験者の方々は、決して自死を選ばす、「学校に行かない」選択をしたり、「ラジオ」や「本」「音楽」「部屋の模様替え」などに自分の居場所を見つけて、苦しい時期を乗り越えられてきたのです。
今いじめにあって、悩み、苦しんでいる人たちには、ぜひ『生きづらさを抱えるきみへ』を読んでいただきたいです。
覚悟を持って「学校なんて長い人生のごく一部。行きたくないのなら行かなくても大丈夫だよ」と伝えられたらと。アニメでも、スポーツでも、SNSでも、本でも、何でもいい。自分が落ち着ける心の拠り所を見つけて、そこに“逃げて”ほしいと思います。
そして自分のように、お子さんをお持ちの親御さんにも、ぜひこの本を手に取っていただきたいと思っています。もしお子さんから「学校に行きたくない」と打ち明けられたら、「自分の子育てが良くなかった」などと悲観せず、お子さんを叱らず、無理強いもせず、寄り添ってあげていただきたいと思います。
本当に長くなってすみません。
最後に。
『生きづらさを抱えるきみへ』が、いじめや不登校、虐待などで苦しんでいる人たち、悩んでいる人たちを、少しでも支えることができたらうれしいな、と思っています。
KEYWORDS:
『生きづらさを抱えるきみへ』
著者:withnews編集部
樹木希林さん
「自分で命を絶つことだけはやめようと生きてきた」
樹木希林さんが若者に送る直筆メッセージ
戦慄かなのさん
「子どもは絶対に悪くない」
虐待を受け非行、少年院で出会った先生
蛭子能収さん
「仲間外れにしてほしかった」
蛭子さんが群れなかった理由
伊東歌詞太郎さん
「いじめられた時、音楽に救われた」
そんな僕が歌う意味
春名風花さん
いじめ問題を発信し続ける俳優が「いじめている君へ」
「いじめていた私」に関する投稿を読んだら
サヘル・ローズさん
学校では「ばい菌」と呼ばれる毎日…
私の「心の傷」との向き合い方
嬉野雅道さん
『水曜どうでしょう』ディレクターが語る
「自分の人生の主導権を握ろう」
キンタロー。さん
「楽しかったのは1学期だけ」だった
キンタロー。さんを救った「小さな逃げ場所」
文学YouTuberベルさん
「あなたらしくいられればいい。チャンスはゴロゴロ転がっている」
人気YouTuberの思い
たらればさん
「学校に行きたくない」ことはごく普通なこと
学校がつらい時「ツイッターに逃げよう」
安田祐輔さん
DV・いじめ…「どん底」を見た元商社マンが
「学び直し」塾を作った理由
一色文庫の店主さん
「僕とじっと耐えましょう」
悩める人が集まる古書店からのメッセージ
寺坂直樹さん
「自分のハガキが読まれた!」
深夜ラジオに救われた不登校の夜
マドカ・ジャスミンさん
自殺未遂も経験した元不登校児が語る
「恥ずかしさも後ろめたさもひとつの個性」
虹山つるみさん
不登校をセパタクローが救う!
異色の小説、作者の「過去」
谷本仰さん
「死ぬな、にげろ」ツイート後に起きたこと…
牧師が語る「#withyou」
岡勇樹さん
「仲間もなく、すがれるものなかった」学生時代を救った
「爆音」と妄想イベント
小林凜さん
僕の居場所は俳句だった…
凄惨なイジメを受けた「ランドセル俳人」の今
コルクBooksとwithnewsのコラボ企画
マンガで読む「#学校がしんどい君へ」
Column1
我が子から突然「学校行きたくない」と言われたら…。
女優・石田ひかりさんの答えは?
Column2
「学校きてね」「待ってるよ」不登校の子どもがもらって葛藤する
「お手紙」問題に迫りました
Column3
定時制高校は今…多様化する社会において
その役割は重要性を増している
Column4
生徒の6割が不登校経験のある高校の教え
「共感してあげることが大切」