飲食店補償「必要ない」47% コロナ禍に見る日本人の利己主義【松野大介】
【補償する必要はない】と回答した47%の人がどういう年代で、どういう職種が多いかわからないが、「補償する必要なし」に入れた理由を、完全な私見で分類してみました‥‥。
1 自分に関係ないことには関心がない
2 困っている人への想像力が湧かない
3 「自分が給付金(または仕事の補償金)を貰えないなら、他人にやる必要もない」という考え
4 感染源とされる飲食店に頭に来ている(またはスケープゴート的に捉えている)
国民には、夜の飲食店と酒への非科学的な要請が出るたびに「夜だけ感染するウイルスがあるか!」「酒で感染するか?」と常識的な反論を抱いたが、要請に従わされているうちに馴れていき、抵抗する意志を失っていった層がいると思う。
他には、テレビがデータを言わないから本当の感染経路を知らず、飲食店が感染拡大させていると信じている層(テレビのみが情報源)。他に、自粛の不満の捌け口として、無意識的に飲食店をスケープゴート(または生け贄?)と捉える層もいるだろう。
仮に後者の2つが多ければ、「このご時世に酒飲んだり提供したりして、感染防止に不真面目な人間は許せない」という心理になった人も多くなるのではないか。そこに、人によって割合は違えど1や2や3の意識が絡み、「補償必要なし」という答えにいたったと私は考える。(読んでくれた方たちの考えはいかに?)
6月、九州でチェーン展開する昭和食品工業が日経新聞に「もう黙っていることはできません!」と感染対策の不備の指摘を織り込んだ意見広告を出した。
他の食品メーカーがコロナ政策に異議を唱えた意見広告を載せた例はある。
日銀の2~3月調査で、1年前と比べ収入が減ったとの回答は41.9%。去年12月より0.9%増加。
他の調査を見ても、コロナ禍での収入減少者の増加は確かだ。
私の感触では、飲食店のような倒産危機やコロナ不況の業種の人はデータを調べたり、政府への不満を訴える。人は危機感がないと必死にならない。飲食関連の業種の人(夜の飲食が好きな人も)は政府に腹を立てるが、自分や家族の仕事が飲食店に関連なければ、無関心か、開けている店や酒を出す店に腹を立てる。
今は自分の生活が脅かされていない人たちが飲食関連の立場になった時に初めて「補償しろ!」「働かせろ!」と焦るだろう。視野の狭い、利己的な面が「補償必要なし」47%に表れている。
人間は自分勝手な生き物だが、五輪しか頭になく先進国でもっとも補償しない日本政府の政策では自分の身を自分で守るしかなく、利己主義がさらに広がるかもしれない。
文:松野大介
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