米中欧の為政者は「コロナ禍」を政治的に利用したけれど、日本の為政者は何をしたのか?【藤森かよこ】
21世紀の日本の為政者は18世紀の清朝乾隆帝に及ばない
新型コロナウイルス対策で酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、取引金融機関から順守を働き掛けてもらう政府の方針決定を巡り、内閣官房が各府省庁に、所管する金融機関に政府方針への協力を求めるよう依頼する文書を出していたことが分かった。西村康稔経済再生担当相は8日夜の記者会見で政府方針を説明し、その後発言を撤回するなどまたもコロナ禍は日本政府の危機対応の無さ、無規範ぶりが露呈。『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください』(KKベストセラーズ)を著した藤森かよこ氏は、これまでの日本政府の混乱ぶりをどう見ているのか? いまは絶版の名著である〝中国の歴史書〟を紐解きながら、「コロナ禍の世界と日本」を分析、予測した最新論考。
■ブレーキとアクセルを同時に踏んでる日本政府のコロナ対策
7月12日から8月22日まで、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、東京都は4度目の「緊急事態宣言期間」に入った。沖縄県は、すでに5月23日から8月22日まで宣言期間に入っている。
「まん延防止等重点措置」については、埼玉県と千葉県と神奈川県が4月20日から8月22日まで実施期間に入っている。北海道、東京都、愛知県、京都府、兵庫県、福岡県は、6月21日から7月11日まで実施期間だった。大阪府は8月22日まで実施期間である。
◆新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言・まん延防止等重点措置|内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室 (corona.go.jp)
東京都は飲食店に対して営業時間短縮と感染対策の強化と酒の提供停止を要請した。営業時間の短縮要請に応じた事業者への協力金を先渡しすることや、協力金支給を迅速化する仕組みを導入することを明言した(中小事業者には前年や前々年の1日当たりの売上高に応じて一店舗168万円から840万円/大企業一店舗あたり上限840万円を予定)。
◆感染拡大防止協力金(飲食店等/~8月22日)|東京都 (tokyo.lg.jp)
7月8日に西村康稔(にしむらやすとし、1962―)経済再生担当大臣は、要請に応じない飲食店との取引を停止するように酒類販売事業者に要求すると言った。政府、酒類提供店との取引停止を要請 販売事業者に(産経新聞) – Yahoo!ニュース
加えて西村大臣は、飲食店の取引先金融機関に対して、当該飲食店に対して要請順守を働きかけるように求めると言った。金融機関は「そんなことはありえない」と反発した。菅首相は、金融機関を通じて飲食店に圧力をかけるつもりはないと言った。翌日9日には、加藤勝信官房長官が、そのような要請は金融機関にしないと表明した。
◆酒提供続ける飲食店めぐる発言「ごう慢」と批判 西村大臣が釈明「融資制限は求めない」(フジテレビ系(FNN)) – Yahoo!ニュース
このように閣僚間での見解や方針の統一もないまま、あわてて緊急事態宣言を発令せざるをえなかったぐらいに感染拡大は深刻らしい。しかし東京五輪は7月23日に開催される。ただし大半の会場は無観客開催となる。
感染拡大を止めたいのか、感染拡大したいのか、どちらかわからない日本の為政者の動きである。