経営の本質は3つだけである
人気経営コンサルタント・小宮一慶が教える「社長になれる人、なれない人」(1)
激変する現在のビジネス環境では、論功行賞的な「社長」ポストは最早存在しない。20年間、経営コンサルタントとして活躍し続ける小宮一慶氏が、独自の社長論を開陳する!
「企業の方向づけ」「資源の最適配分」「人を動かす」
経営の本質はこの3つだけ!
社長の仕事とは何でしょうか。平社員には平社員の仕事、課長には課長の仕事があるように、社長には社長の仕事があります。社長を目指すならば、経営という「仕事」とは何かを知るべきです。
そして、経営の本質とは(1)企業の方向づけ(2)資源の最適配分(3)人を動かす――この3点に尽きると、私は考えています。
かつての日本経済は高度成長やバブルに沸いたものですが、現在は長らく停滞が続くなど、企業を取り巻く環境が激変しています。しかし、経営者に必要な能力は前述した3点に変わりはありません。もっとも、経済が右肩上がりだった時代では、他社と横並びで経営していれば、当時は需要が供給を上回っていたので、そう間違いはなかった。そもそも社長になることには、論功行賞のような上がりのポストのイメージがあったものです。しかし、現在のような先が読めない時代ではそういうわけにはいきません。その意味では、現在の社長の仕事は格段に難しくなっていると言えます。
景気の長期停滞だけでなく、IT化とともに経済のグローバル化が急速に進む現在、社長の仕事の中でもとりわけ重要なのが「企業の方向づけ」です。言ってみれば、会社として「何をやるか、何をやめるか」の取捨選択で、「戦略」と言い換えることもできます。この方向づけを誤ると、会社は崖っぷちに向かうことにもなりかねません。