虐待などから子どもたちを守る「特別養子縁組」を支えるNPOスタッフの日常
虐待や育児放棄などに直面する子どもは国内で約4万5000人にものぼるとされている
(4)羽田 守男(ハタ モリオ) 大阪支部
Q:これまでにどんなお仕事をされてきましたか?
A:大学卒業後は地方テレビ局の報道記者をはじめ、芸能タレント学校で就職担当としても働いてきました。8年前に医師である妻と結婚したのを機に、医療・福祉業界へ転身しました。
Q:支部パートナーとして活動しようと思われた動機をお聞かせ下さい。
A:親戚に産婦人科の医師がおり、中絶や望まぬ妊娠などについての悲しい話を度々聞いていました。「自分も少しでも何かできないか?」と考えていた時に、テレビのニュースで阪口さんを知りました。早速SNSを通じて連絡を取り、何度かお会いするうちに、彼と法人の考え方に賛同し、大阪支部として活動することに決めました。
Q: 活動開始以来、お気付きになったことがあれば教えて下さい。
A:八方塞がりになっていた実母さん、また念願の養子を迎えることができた養親ご夫妻と接して感謝された時は大変嬉しく、数々の苦労が実った思いがしました。私自身も2人の子どもを育てていますが、愛情のある養育環境が子どもにとっては一番だと改めて思うようになりました。
Q:これからの抱負をお聞かせ下さい。
A:大阪は、児童虐待の相談件数が全国1位といわれています。当NPOは大阪に本部を置いている上に、私が担当する支部もできました。行政や他団体とも連携して、この不名誉な順位を払拭していきたいと考えています。子どもたちの幸せを第一に考えた特別養子縁組の制度を世の中に発信していき、ひとりでも多くの子どもの命を助けていきたい。児童虐待のない世の中にしていきたいと思っています。
ひとつでも多くの命を救うために
私たちの理念や活動、そしてスタッフの実際の仕事について、イメージしていただけましたでしょうか。
これまでのキャリアを踏まえて、ユーチューバーのえらいてんちょうさんと取り組んだ新刊『インターネット赤ちゃんポストが日本を救う』(KKベストセラーズ刊)では、マンガも交えながらスタッフの様子をより詳しくご紹介しています。
里親を希望する夫婦と面談し、新たな子どもを授かる喜びを見届けること。託された子どもを、養子縁組に関わった一人の人間として見守っていくこと。養子に出してくれた実親に感謝し、その先の人生における幸せを祈ること。これらはどれも、実際の現場で携わっている私たちだからこそできることです。命を扱う場に関わることへの責任を常に持ちつつ、 ひとつでも多くの命を救うことを目標として、スタッフは日々最善を尽くしています。
KEYWORDS:
『インターネット赤ちゃんポストが日本を救う』
著者:阪口 源太(著)えらいてんちょう(著)にしかわたく(イラスト)
親の虐待や育児放棄を理由に国で擁護している約4万5000人の児童のうち、現在約7割が児童養護施設で暮らしています。国連の指針によると児童の成育には家庭が不可欠であり、欧米では児童養護施設への入所よりも養子縁組が主流を占めています。
本書ではNPOとしてインターネット赤ちゃんポストを運営し、子どもの幸せを第一に考えた養子縁組を支援してきた著者が国の制度である特別養子縁組を解説。実親との親子関係を解消し、養親の元で新たな成育環境を獲得することができる特別養子縁組の有効性を、マンガと文章のミックスで検証していきます。