街金業者だから語れる―闇金との違い、お金の魔力、債務者のウソ―
書籍『ぼく、街金やってます』(著者/テツクル 8/2発売)より
不動産を担保に取ってるんなら、貸倒れなんかしないだろ? とお思いでしょ?
街金の場合、抵当権の順位が1番で貸せるケースの方が稀なんです。
弊社は、先順位に銀行、ノンバンクがいても担保に余力があると判断すれば、順位に関係なく貸すんです。余力の隙間に抵当権をねじ込んでるんです。
後方の順位からいかに全額回収するか、ギリギリを綱渡りしている多重債務者に、ルールギリギリで融資するんですから、ギリギリの駆引き、攻防が求められます。
だから、弊社の貸倒れゼロは誇れるんです。
お金を貸すことはバカでもできる。回収まで考えて貸せるか。だからといってリスクばかり考えてたら誰にも貸せないわけです。
街金からお金を借りる人は、90%以上が負の連鎖に陥っています。
借りたお金が生き金にならない。肩代わり、支払い、一歩も前に進まない借金を積み重ねています。お金を生まない借金の利息を払い続けなきゃいけない。だから一瞬も目が離せないんです。
利払日じゃなくても電話します。世間話から資金繰りの状況を窺います。
実情を探るためにアポなしで訪問したりもします。
多重債務者は噓つきです。噓のストーリーを構成してお金を借りにきます。
当然です。
正直に話したら貸してもらえないんですから。
そんな多重債務者の人たちは、お金についての発想が根本からズレている傾向があります。債務に追われてズレてしまった人も多いのかもしれません。
お金に対する理性を失ってしまうんです。
お金が最優先、お金のためなら、という発想、怖くないですか。
お金のこと、どれだけ説いても、多重債務者は真摯に受け止めることはないので、ぼくの仕事は安泰なわけです。
多重債務者との攻防は、澱んだ人間ドラマが垣間見えます。
テレビの深夜ドラマで、無名役者の人たちが演じている後味の悪さを残す結末のアレ、です。
そんな深夜ドラマのような日々の中で知ることができた、そんなお金の魔力とそれに取り憑かれた多重債務者の様子をお伝えしようと本を出させていただきました。池袋の雑居ビルにある街金で働くぼくなんかが、街金の日常を語る本です。
『ぼく、街金やってます』(KKベストセラーズ)
ぼくがお伝えしたいのは、イメージで言うと、フィンテックの世界じゃなくて、生臭い現金の世界。
街金の仕事と多重債務者のこと話してます。 仕事やお金でお悩みの方、下には下がいる、自信もって今日も生きて。
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『ぼく、街金やってます: 悲しくもおかしい多重債務者の現実』
著者:テクツル
東京・池袋で街金を営む著者のもとには、さまざまな多重債務者がやってくる。そして返すあてもないまま借金を重ねていく。そんな彼らの、悲しくも爆笑せずにはいられないさまざまなエピソードを面白おかしく、しかし赤裸々に、街金ならではの視点で紹介。
ほかにも、ブローカー、詐欺師、悪徳業者、反社など、日常生活では出会うことのない人々が続々登場。今まであまり語られることのなかった街金コラムも満載。あなたの知らないお金の世界が見えてくる!