NHKアナウンサーがまさかの違法薬物 逮捕当日を振り返り激白した
違法薬物で逮捕、解雇。人と話したくない、電車に乗れない、店に入れない、外に出られない、そしてうつに。
■なぜ私はドラッグなんかに手を出したのか?
そもそも、なぜ私がドラッグなんかに手を出したのか。ありふれた理由かもしれませんが、ストレスとうまく付き合うことができませんでした。一日の終わりに、ストレスを和らげるためご褒美スイーツをコンビニで買う感覚で、怪しいサイトからドラッグを購入したのです。
NHKのアナウンサーというと、「いい仕事をしている」と人は羨むかもしれませんが、私は新人の頃から劣等感の塊でした。今日も出来ないことが多かった。もっといい仕事をするアナウンサーは大勢いるのに、なぜ私はここにいるのか。どこまでいっても自分に自信が持てない。それを隠して生活していたのです。
もちろん、会社の仲間だけでなく、友人も大勢いました。でも、その人たちに自分の弱みを見せるのが怖くて、全く出来ませんでした。大げさではなく、絶対に無理でした。新人アナウンサーの頃は、叱られたり失敗したりすることで、「やっぱり自分はダメなやつだ」とバランスのようなものを取っていたものです。それが、アナウンサーとして経験を積むようになって、徐々に大きな失敗もしなくなりました。そこそこ、なんでも出来るやつ。これが、とても厄介でした。社会人として成長するのは当然のことだし、今更何をいっているのかという気もするのですが、釈放された後、先輩たちから久しぶりに叱られて、新人時代のダメな自分を思い出し、ホッとした気持ちがあったほどです。
遅かれ早かれ、どこかで崩れていたかもしれませんが、その前に私はドラッグでつまずいてしまいました。
ひとたび薬物事件を起こすと、どうなるのでしょうか。まず、信用も仕事も失います。持ち家も手放しました。仲の良かった友人もいなくなります。この辺までは、誰もが想像する一般的な転落人生かもしれません。では、薬物事件を起こした人が、どうやって人生を立て直していくのか。回復施設では、どうやって過ごすのか。あまり知らない人の方が多いのではないでしょうか。私もまだ道半ばではありますが、2年近くかけて、ようやくその過程を伝えることができるようになりました。
KEYWORDS:
『僕が違法薬物で逮捕されNHKをクビになった話』
著者/塚本堅一
NHKのアナウンサーとして順風にキャリアを重ね、東京勤務になってからは夕方5時の帯ニュース番組を担当し、「さあこれからだ!」という矢先に違法薬物で逮捕。さらに違法という自覚も無く、自分自身で製造まで行っていたという。そんな氏が、そもそもなんで薬物に手を出したのか、依存するようになったのか。後悔と懺悔の独白および、底からのリカバリーなど、自身の経験をこと細かに独記し、薬物使用に対する警鐘本とする。