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世界中で進む水道の民営化!! 今こそ日本の水道を見直すとき

日本の水が危ない④

 「水道の危機」が叫ばれ、これを救うには「水道の民営化」が有効な手段だと言われる。だが、実は、世界各国で進んでいる「水道民営化」は、期待ほど成果があがっていないことをご存知だろうか。世界屈指のレベルのように感じている日本の水道システムは、実は危ういのだろうか? 日本の水道の歴史と、その水準の実態を見ていこう。(『日本の「水」が危ない』六辻彰二 著より

【世界屈指の水道システム】

 

 世界各国で「水道民営化」が実施され、その多くで期待されたほど成果があがっていないにもかかわらず、日本政府は水道事業への民間企業の参入を推し進めようとしている。そこで強調されるのが「水道の危機」だ。つまり、危機を救う手段として「水道民営化」の有効性が唱えられているのだが、果たして日本の水道システムはどれほど危ういのだろうか。「水道民営化」という解決策の良し悪しを考えるとき、まずその大前提として、日本の水道そのものを改めて見直す必要がある。

 まず、日本の水道の歴史を簡単に振り返ってみよう。水道は近代以降の日本の歴史の一側面であり続けた。日本初の近代水道は、開国から間もない1887年(明治20年)に横浜で敷設された。これは外国人の到来とともに持ち込まれたコレラなどの感染症の対策でもあった。それ以来、函館、長崎など港湾都市を中心に進んだ水道の敷設は、やがて東京、大阪などの大都市にも至った。

 しかし、第二次世界大戦以前、人口の多くを占めていた農村ではその限りでなく、戦後の1950年段階でも全国の水道普及率は約26%にとどまっていた(厚生労働省)。これが一気に進んだのは高度経済成長期で、水道普及率は1960年に約53%、1970年には約81%と急激に伸びていき、バブル崩壊の直前1990年には約95%にまで達した。

 こうして普及した日本の水道は、そのコストパフォーマンスの高さで世界でも屈指のレベルにある。これを料金、アクセスのしやすさ、サービスの三点からみていこう。

KEYWORDS:

『日本の「水」が危ない』
著者:六辻彰二

 

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 昨年12月に水道事業を民営化する「水道法改正案」が成立した。
 ところが、すでに、世界各国では水道事業を民営化し、水道水が安全に飲めなくなったり、水道料金の高騰が問題になり、再び公営化に戻す潮流となっているのも事実。

 なのになぜ、逆流する法改正が行われるのか。
 水道事業民営化後に起こった世界各国の事例から、日本が水道法改正する真意、さらにその後、待ち受ける日本の水に起こることをシミュレート。

 

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六辻彰二

むつじしょうじ

国際政治学者

1972年生まれ。博士(国際関係)。国際政治、アフリカ研究を中心に、学問領域横断的な研究を展開。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。著書、共著の他に論文多数。政治哲学を扱ったファンタジー小説『佐門准教授と12人の政治哲学者―ソロモンの悪魔が仕組んだ政治哲学ゼミ』(iOS向けアプリ/Kindle)で新境地を開拓。Yahoo! ニュース「個人」オーサー。NEWSWEEK日本版コラムニスト。


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