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自衛隊をどうするのか?

誰が国を守るのか!?

「集団的自衛権」をはじめ、安倍政権で常に議題となっている「憲法改正」について、保守主義者・作家 適菜収さんと共産主義者・衆議院議員 清水忠史さんに語り合ってもらった。(『日本共産党 政権奪取の条件』適菜収、清水忠史/KKベストセラーズ より)

【自衛隊をどうするのか?】

 

適菜  先ほど清水さんがおっしゃった自衛隊容認は、党の方針ですか?
清水 自衛隊は憲法違反です。この認識は変わってません。憲法と矛盾してます。ただ、自衛隊を今すぐなくせばいいかというとそうではない。歴史的経緯もあるし、国民の多くは自衛隊の存在を認めています。では、現実に合わせるために、憲法を変えるのかというたら、私たちはそうではなくて、時間はかかるかもしれないけれども、憲法に合わせていくというような態度です。
適菜 それはおかしくないですか?

清水  警察予備隊ができたのは、朝鮮戦争が契機です。ダグラス・マッカーサー(一八八〇〜一九六四年)が作れと。その朝鮮戦争のときに、安保条約もできるわけです。もともと侵略戦争を起こした日本には軍備を持たせないと決めたアメリカが、今度は逆に再軍備させた。でも、今の朝鮮半島は、文在寅と金正恩が首脳会談をやって経済圏をつくるという話になってきている。そうなると北朝鮮の脅威を盾に、米軍基地にカネを費やすのはどうかと思う。日本共産党は、安保条約と自衛隊は別ものだと思ってるんですよ。安保条約を破棄したからといって、自衛隊をなくすのではありません。しかし、未来永劫世界で紛争が続くのか、誰かが攻めてくるかもしれないと軍隊を持たなければならないか。今から一〇〇年くらい前は、植民地支配も奴隷制も認められていたわけで、社会は発展していくんです。

適菜  植民地支配も奴隷制も形態が変わって目につきにくくなっただけですよ。それに憲法を普通に読めば自衛隊の存在が違憲であることは小学生でもわかります。だから、現実問題として二択しかないんですよ。憲法を変えるか、自衛隊をなくすかです。それをやらないのは欺瞞です。普通に考えたら、憲法を変えるしかない。安倍は九条の一項、二項を維持したまま、三項を加えて自衛隊を憲法に明記するなどと言い出しましたが、頭がおかしいとしか言い様がない。欺瞞に欺瞞を重ねるからおかしくなるのです。手続きは面倒ですが、自衛隊は日本軍にすべきです。そして、アメリカの戦争には関わらないと言えばいい。

清水  日本には思い出さないといけない戦争の経験があります。軍隊を持たないという憲法の初心は、当時の人たちの実感から出てきたものだと思うんです。アメリカから押しつけられたという議論もありますが、それに先立って、日本の憲法学者が考えていた。そうでないと、いくらアメリカ側が提案したからといって、簡単に通るものではありません。幣原喜重郎(一八七二〜一九五一年)が憲法九条をマッカーサーに提案したという資料も国会図書館から出てきました。僕は九条はかけがえのないものだと思います。アメリカが警察予備隊を作ったときにはピストルしか使えないということになっていた。これが保安隊になって、自衛隊になって、今は核保有国を除けば最大の軍隊になったわけですよ。憲法九条があるにもかかわらず、「自衛隊は最低限の実力組織です」と言ってきたのは自民党政権です。本来ならば、警察予備隊を作るときに憲法を変えなければダメだった。そうしないと作れないはずなのに欺瞞を続けてきた。

適菜  そうですね。ただ、私が話しているのは自衛のための軍隊のことです。侵略するための軍隊は必要ないし、そもそも侵略する必要もない。しかし、自衛のための軍隊は必要です。当たり前の話ですが。

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『日本共産党 政権奪取の条件』
著者:適菜 収、清水 忠史

 

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日本共産党とは相いれない部分も多い。私は、共産主義も新自由主義と同様、近代が生み出した病の一環であると考えているからだ。日本共産党が政権を取る日は来るのか?本書で述べるようにいくつかの条件をクリアしない限り、国民の信頼を集めるのは難しいと思う。そこで、私の失礼な質問にも、やさしく、面白く、かつ的確に応えてくれる衆議院議員で日本共産党大阪府委員会副委員長の清水忠史さんとわが国の現状とその打開策について語った。
――――保守主義者・作家 適菜 収
 
作家・適菜収氏との対談は刺激的であった。保守的な論壇人としてのイメージが強く、共産主義に対して辛辣な意見を包み隠さず発信してきた方だけに、本当に対談が成り立つのだろうか、ともすればお互いの主張のみをぶつけ合うだけのすれ違いの議論に終始してしまうのではないかと身構えたのだが、それは杞憂に終わった。
――――共産主義者・衆議院議員 清水忠史

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