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K–POPアイドル育成の国家戦略

韓流アイドルは経済成長戦略の重要な要素

■国際市場を狙った輸出商品づくり

「江南スタイル」に象徴されるように、海外市場を意識した楽曲作りや、プロモーションが始まったのはなぜだろうか?

 結論を言えば、音楽市場を含む韓国国内の市場が狭いからである。そのためにK–POPが世界を目指さざるを得ない状況に追い込まれていたのだ。

 K–POPが世界的な展開を本格化させていた2010年前後の韓国の市場の現状を
見るとよくわかる。

 2010年のデータでは、韓国の人口は約4850万人。GDPは1兆145億ド
ル、1人当たりのGDPは2万756ドルだ。当時の日本では、GDPは5兆4 9 8 7
億ドル、1人当たりのGDPは4万2782ドルである。韓国の経済力と市場がいかに
狭く小さいかがわかる。

 国内の市場が狭いことはおのずから限界があり、努力に努力を重ねて大ヒットを飛ばしても、ビジネスとして韓国国内では、海外市場と比べものにならない。

 国際レコード・ビデオ制作者連盟の2011年の資料では、音楽市場が最大の国はアメリカで41億6800万ドル、次いで日本が39億5900万ドル。以下ドイツ、イギリス、フランスと続き、韓国は12位で1億7800万ドルである。韓国の音楽市場規模は日本の30分の1しかないのだ。

 音楽の売り上げ上位20カ国での、1人当たりの売上額では、世界2位の日本に比べる22と約10分の1にしか過ぎなかった。

 こうした現状から見ても、日本の市場や大衆アイドル文化の発展途上国である東南アジア市場に、活路を見出そうとするのはごく自然の流れだろう。

 2008年9月のリーマンショック以降、韓国の通貨ウォンは、1997年のアジア
通貨危機以来の安値まで暴落していた。

 韓国政府は、この国家的経済危機から脱出するために、新たな経済成長エンジンとしてK–POPを含むコンテンツ産業の有効性を認め、国家戦略としてコンテンツの輸出を推進する方針を固めた。

 韓国ショービジネス界が、日本に進出した大きな動機は、日本市場を攻略することが、結果的には利益になったからだ。

 韓国は、1998〜2003年の金大中大統領時代から文化産業の経済的重要性を
認識し、政策の一環として支援して来た。戦後間もなくは日本の大衆文化の輸入が禁止されていたが、それを開放したのは金大中大統領である。

 2007年には、中小企業のコンテンツ分野の海外進出に対するコンサルティング費用を、最大80パーセントまで政府が負担することを決定。2008年からは、毎月グローバルに活躍できる可能性がある新鋭アーティストを選び、地上波テレビやその他の活動を集中支援するという事業を開始した。

 2010年には、音楽、ドラマ、映画、アニメーション、ゲームなどの、韓流コンテンツ事業の支援に2000億ウォン(約200億円)を投入した。

 この数字は、文化関連予算の17・25パーセントに相当するものである。その結果、2010年のコンテンツ総輸出額は3兆ウォン(約3000億円)にも達した。

 こうした政府のバックアップのおかげで、韓国の音楽事務所は莫大な投資が必要な海外進出が可能となったのだ。

 しかも、ウォン安での相当に厳しい状況の中で、芸能事務所は政府絡みの資金援助を受けることができ、リスクも少なくなった。このことが、K–POPの海外進出を大きく助長させ、業界と政府の相乗効果で国家戦略の一つになるほど重要な輸出産業となったのだ。

 K–POPは韓国政府にとって、経済成長戦略の重要な要素となっている。だが、そのことによって、業界内のみならず、さまざまな利権が絡んで弊害も多くなってきたといえるだろう。

KEYWORDS:

『韓流アイドルの深い闇』
金山 勲 (著)

 

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暴力団関係者から脅迫されたウォン・サンウ。
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韓国芸能界に蔓延する麻薬、セックス、自殺、整形、反日、暴力団、兵役逃れ……。奴隷契約によって売れても地獄な韓流アイドルたちは、国費で育成されて日本をはじめとすす市場に“出荷”される“商品”である。彼ら彼女らの末路とは?

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金山 勲

かなやまいさお

1956年、在日韓国人二世として、大阪で生まれる。東京の大学在学中に、TV 番組制作会社でアルバイトし、その後日本の芸能プロダクションに勤務する。韓国取材で韓国芸能界との交流が生まれる。ある韓国人女性歌手の日本デビューの手助けを頼まれ、彼女の日本滞在中の面倒を見たことで独立し、韓国から芸能人を受け入れるための事務所をソウルと東京に開設。韓流ブームがあり、当時交流した芸能事務所の担当者たちが韓国内で様々なジャンルの芸能事務所の社長になっていることで、韓流タレントの招聘や韓流ドラマの輸入に携わる。


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  • 金山 勲
  • 2019.09.21