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伊賀から伊勢へ⑫波切九鬼城跡(弐)

季節と時節でつづる戦国おりおり第394回

 

 

 九鬼城跡の頂上の曲輪?から西側を望むと、観光名所ともなっている「大王埼灯台」が見えます。垂直に切り立った岩壁の上の灯台。こちらの波切城跡も、同じ様に岩壁の上の砦だったわけです。攻めにくいことおびただしい。灯台のある崎山の中腹には波切神社が鎮まっています。当然、往時こちらには城の出丸が置かれていたことでしょう。

 では、城跡の山を下りて麓に戻りましょうか。

 

 城跡の北、崎山の麓には海が湾入した港があります。海女の方が沖に漕ぎ出す船の拠点ですね。この写真の右側へ港沿いに進むと、仙遊寺さんというお寺があります。

 

 お庭もきれいにお手入れされています。お寺の方にご挨拶して境内を拝見させていただきました。

 

 これは九鬼氏5代、隆良・隆基・隆次・泰隆・定隆のお墓です。織田信長に仕えて鉄甲船を造り、毛利水軍を撃破した嘉隆は定隆の次男と伝えられていますが、この波切の町のささやかで静かなたたずまいを見ると、どうももっと傍系の出で本家を乗っ取ったのではないかと思えます。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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