不動産業界で学んだ営業の本懐と稼ぐ技
話題の不動産プロ集団“全宅ツイ”による不動産コラム④
||自分の意思でやりました||
●どエンド君(以下「エ」)──ようすけさん、『業界で噂の劇薬裏技集 不動産大技林』の執筆おつかれさまでした。
担当編集が「…こんなブラックな本だと思わなかった…」って校了一週間前に泣き出したときはどうしようかと思いましたよね。
■はとようすけ(以下「よ」)──僕も今月は良い数字を上げないと会社が消滅しそうな危機の中、半泣きでチラシを撒きながら執筆していたので、担当さんの気持ちはよくわかりますね。名字のない女の子たちがいるお店で「シャチョさん」と呼ばれに行きましょう。
ちなみに、現実の私は課長ですが、課には私一人です。
●エ)──おっと…いきなり本書収録の「役職で偉く見せる法」が炸裂しましたね。
この本は「賃貸管理編」から「建築開発編」まで、不動産業界に関する74のウル技(テク)が満載ですが、中でも「仲介・買取再販編」は完全にようすけさんの御経験が軸になっていましたね。そこで執筆者を代表してインタビューをお願いしたいと思います。
■よ)──光栄です。
●エ)──まず、著者となっている不動産プロ集団「全宅ツイ(全国宅地建物取引ツイッタラー協会)」は、本がどれだけ売れても原稿料はQUOカード2千円分しか支払わない非情な組織だと伺っています。それなのになぜ、こんなにも全力で協力されたのでしょうか? ここまで不動産屋の手の内や裏事情を世間様に晒して…リスクしかないですよね?
■よ)──全宅ツイへの恩返しです。売買仲介というのは、チラシ撒きから引き渡しまでの荒れた不動産オフロードを一人で完走する仕事なので、長年営業している僕でも今だに疑問点や知らない事が出てきます。
そんな時は決まって、全宅ツイのメンバーがアドバイスをくれたんです。彼らは個々がその道のプロフェッショナル集団なので、とても助けられました(原稿料、本当に2千円なんだ…)。
●エ)──たしかに、悪徳ブローカーから大手不動産会社社員、地主に地場管理会社と、様々な職種のメンバーで構成されていますね。
■よ)──ええ。だから書籍刊行といったイベントがあるならば、盛り上げて鉄砲玉になれればと思っただけです。僕の拙い業界経験が本に活かせるなら、と。
もちろん何か問題が発生したら、僕が個人の意思でやったと言いますのでバッサリ蜥蜴の尻尾として切り捨ててもらって構わないと思っています。
●エ)──怒られたら「自分の意思でやりました。会社は関係ないです」と言うところまでがテンプレ。さすが「捨て看集客法」の基本所作が身に染み付いていらっしゃいますね。
||捨てられたカードで勝負する||
●エ)──個人でやっているような小さい不動産屋さんが、大手の間隙を突いて取引を決めて手数料を得る。そのための個人技やゲリラ作戦が本書にはたくさん出てきます。
ぼくは原稿をまとめていて感動したんですよ。だって、不動産を買う人はまず看板のある大手に行くじゃないですか。マンションの一室でやってるとこに最初から来る人なんていない。
ローンがつきやすい・すぐに買ってくれる、そういった良いお客さんは大手に取られちゃうんです。スタートの時点で不公平。人が捨てたカードで勝負するしかない。
■よ)──ですね(苦笑)。
●エ)──それなのに、ようすけさんは泣き言をいわず、手を真っ黒にしてポスティングをして売主に飛び込む。何かのせいにすることなく、ぜんぶ自分の責任で結果を出すまであの手この手で頑張るじゃないですか? どこからその、自ら道を切り拓く力を得たのでしょうか?
■よ)──僕が二社目で入ったブラック会社の上司の影響です。ひとりで年間手数料1億やる方で、仕事にはとても厳しいんですが、僕の心が折れそうになるとご飯に連れて行ってくれて、話を聞いてくれて…その人に今の営業マインドを徹底的に叩き込まれました。
「顧客は勇気を持って1本の問い合わせをしてきてるんだ。そして時間と手間を使ってお前の前に立ってる。最高の準備と最高の案内をしろ。それが営業だ」とか、名言がもう凄くて…。
お客様の悪口は絶対に言ってはいけない、どんな手を使ってもお客様に尽くす等、学びしかない日々でしたね。
不動産業界の人に対してあまり良いイメージが無いのはわかっています。でも、ぼくたちが仲介手数料だけのためにリスクを負って「不動産大技林(=裏技)」を使うと思いますか?
もちろん、その全てが褒められたものではないけれど、大手に冷たくされたお客様は「(大技林を使えば)自分にも家が買えるんだ」とわかった時、喜んで泣くんですよ。
話が飛びましたが、その時の上司みたいになりたい、認められたいってのが大きいかもしれません。
会社の規模や看板や免許番号、物件、お客様、ローン…。そんな「決まらない言い訳」を沢山並べるよりも「決まる理由」を1つ探した方が健全ですよ。会社の規模より自分自身を売りお客様に尽くせば、見てくれているお客様は付いてきます!
●エ)──熱いですね! そんなお客様への想いが止められなくなった結果「ス%ー$▲手法」という、お客様の自宅近くまで赴き、お気持ちを伺う技を生み出すに至ります。まさかマネをする人はいないと思いますが…。
■よ)──勝負どころでは、やっぱり有効な事は全部やった上で、その結果を受け取めたいですからね。そう思って、朝までお客様をお待ちしたこともあった気がします。
●エ)──長い夜はどのような気持ちで過ごしたらよいのでしょうか?
■よ)──夜ってつい「幸せってなんだろう?」みたいなことを考えてしまいますので、背中痛いけど車で寝るしかないですね。
●エ)──朝に家を出たら、昨日会った仲介がいる…。お客様は変な声を出しませんか?
■よ)──驚かせてしまってすみませんでした。
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