ワインを芳醇に仕立てる雄大な自然に触れて ~北海道に乾杯~
ワイン、ビール、ウイスキー… 北の大地が育んだ歴史と味わい①
■厳しい気候を味方につけた北の大地のワイン造り
どこまでも青く澄み切った空知地方の青空の下、垣根式のヴィンヤード(ブドウ畑)が果てしなく広がっている。まるで海外のワイン産地を思わせる光景だ。
札幌から北北東に約60㎞。「鶴沼ワイナリー」(樺戸郡浦臼町鶴沼)は、眼下に石狩川を望む樺戸連峰の東側、南西向き斜面に展開する、国内でも最大規模(447ha)を誇るワイナリーだ。9月初旬、収穫を目前にしたヴィンヤードでは「腐れ取り」が行われていた。腐ったり傷んだりした果実はワインの風味を損なうため、あらかじめ取り除く必要がある。良質なワインを得るためには欠かせない作業である。
北海道のワイン造りの歴史は、今から50年ほど前に始まった。梅雨や台風の影響が少なく、夏は日照時間が長いため、ブドウを完熟させるのに適した風土であると醸造家の間で知られるようになり、技術の進歩とともに個性豊かな味わいのワインが造られるようになった。
北海道の中でも特に雪の多い地域である鶴沼は、冬季は葡萄樹が雪で覆われてしまう。平均最低気温は氷点下10 ℃にもなるというが、かえって雪が保温材の役目を果たし葡萄樹を守ってくれる。雪の重みで枝や幹が折れてしまわないように、葡萄樹を斜めに倒して越冬させるのは当地ならでは工夫だ。
園地では多種多様な品種が栽培されている。ゲヴュルツトラミネールもそのひとつ。フランス・アルザス地方の代表的な高級白ワイン用品種だ。ライチやマスカット、白桃のような甘い果実味にラベンダーやバラを思わせる花のニュアンスを含み、その味わいから女性に人気だ。
鶴沼産の同品種は非常に評価が高く、今年発売された「鶴沼ゲヴュルツトラミネール2017」は、国内の最高権威である日本ワインコンクール2019で銀賞を受賞したほど。果実感のあるリッチな味わいと、気品溢れるほどよい酸みが
実に鮮やかだ。北海道の大地の恵みを感じながら楽しみたい。
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『北海道ワイン・おたるワインギャラリー』
鶴沼シリーズを販売する北海道ワイン(本社:小樽市)が運営する「おたるワインギャラリー」。
北海道小樽市朝里川温泉1-130
☎0134-34-2187
販売・試飲可
(営) 9:00~17:00
(休)年末年始
http://hokkaidowine.com/
【鶴沼ワイナリー・ワイン直売所】
北海道樺戸郡浦臼町於札内428-17
☎0125-68-2646
営 夏季(4月中旬~10月)9:00~16:00
冬季(11月~4月中旬)9:00~15:30
営業日は要問い合わせ
【立ち寄り処】
『鮨おくの』
ご当地で極上の寿司とワインのペアリングを。「鮨おくの」のお勧めはバランスのよい「鶴沼ピノ・ブラン2015」。ひと手間かけて素材のよさを引き出した寿司との相性は抜群だ。5500円~(コースのみ提供)。
北海道滝川市栄町3-4-5
☎0125-24-1818
㊡ 日曜日 営 18:00~23:00
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