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秋田新幹線「こまち」に乗ってSL撮影へ

「SLおが」を追って日帰り弾丸旅行

 秋田駅での男鹿線への乗り継ぎはよくなかった。真昼間で、利用客が多くない時間帯なのであろう。男鹿線の列車間隔は1時間半ないし2時間と広がってしまうためだ。もっとも、発車の30分程前に列車がホームに横付けとなり、車内に入ることができたので、間延びすることはなかった。
 男鹿線は非電化区間なので車両はディーゼルカーである。2017年3月より架線がなくても走れる蓄電池電車EV-E801系「アキュム」がデビューしたのだが、まだ1編成しかなく1日3往復なので、途中駅ですれ違うことはあったものの乗車は叶わなかった。

二田駅でアキュムと交換

 というわけで、旧国鉄時代から活躍を続けるお馴染のキハ40系ディーゼルカーに乗車した。ただし、車内は先頭車がオールロングシート、後部の2両目がセミクロスシートだったので、迷うことなく2両目にした。発車まで時間がたっぷりあったので、席はほぼ自由に選ぶことができた。
 利用する人は少なくないようで、私の座ったボックス席にも相客があった。定時に発車。しばらくは奥羽本線を走る。貨物の操車場や秋田車両センターの脇を走り、土崎、上飯島と複線電化の奥羽本線を進む。追分駅を出ると相変わらず複線みたいだが、実は左側が男鹿線、右側が奥羽本線となり、単線並列なのだ。やがて林の中で列車は奥羽本線と分かれ、左に大きく曲がって行く。線路際は雑草や背の高い木立が並び、あまり見通しがよくない。これでは目指す船越水道以外には条件のよい撮影地はなさそうだ。

下車した天王駅の駅名標

 男鹿線最初の駅出戸浜は、かつて列車の行き違いができたようだが、今は右側のホームは放置状態で雑草が生い茂っている。線路も撤去されたようだ。次の上二田に停まり、二田で列車交換をする。先頭が青、2両目が赤の蓄電池電車アキュムだった。乗れなかったが本物を拝むことが出来たので良しとしよう。
 次が天王駅。ここで下車する。数人がホームに降り立ったが誰もがSL撮影のためにやってきたことは雰囲気で分かる。駅前の意外にきれいな公衆トイレで用を足し、一行の後を追いかける。お寺の脇を通って幹線道路に出ると、あとは道なりに進む。駅から7分程で目指す船越水道に架かる鉄橋のたもとに出た。すでに20人ほどが三脚を立てて待機していたが、広い場所なので立ち位置に困ることはなかった。

SLおが試乗会列車の雄姿

 待つこと30分少々。川向うの船越駅を発車する汽笛が響き、対岸に並ぶ建物の後ろで煙が流れる。やがて蒸気機関車C61形が姿を現し、客車4両とディーゼル機関車を従え、豪快に煙を吐きながら鉄橋上を驀進していった。風も穏やかで、汽車の煙が脇に流れることもなく、絵になる情景だった。地元の人のための試乗会列車だったので、客車内には人影が見えた。

蒸気機関車C61

 夢中になってシャッターを押し続けたのであっけなかったけれど、汽車が残した煙の匂いを嗅ぎながらモニター画面をチェックすると大満足だった。はるばる秋田まで来た甲斐があった。次の列車までは40分程。慌てることもない。足取りも軽く天王駅へ戻り、秋田に出て再び「こまち」で帰路に就いたのだった。
 なお、10月12日と13日の本運転のうち13日は台風接近のため中止となってしまったとのこと。残念である。 
 

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