◇観るのに一苦労！難解映画３選

　一時期難解な映画ばかりを好んで観ていた私が、観るのに一苦労した映画３作品をご紹介いたします！

【皆殺しの天使】

　１９６２年に公開されたスペイン・メキシコの鬼才ルイス・ブニュエル監督作品です。ブルジョア貴族たちが閉じ込められている訳でもないのに、なぜか全員が館から出られなくなるという人間の深層心理を捉えた問題作なのです。

　まず設定が思いつきそうで思いつかない絶妙なところをついていますよね。パーティはとっくに終わっているのに誰一人とも館から出られない…帰りたいのに帰れない…そんな摩訶不思議な状況下で食料が尽きてしまったりと貴族たちのサバイバルが始まっていくのです。極限状態に直面した人間たちの本能的な部分を切り取っているのですが、なかなかその本能的だったり心理的な部分って完全に理解することが難しいことですよね。ブニュエルはそれを知っていたのか、それともこの映画を撮っていく上で本来の人間としての答えを探していたのか…人間としての挑戦を観れるような作品になっています。タッチはシュールでなんともいえない異様な空気を楽しめますし、設定に惹かれたならば、必ず観てほしい映画です！

【ざくろの色】

　「難解映画」の真骨頂とも言える本作品。ロシア人の監督セルゲイ・パラジャーノフが創り上げた芸術的で詩的、極めて難解な素晴らしい映画です。

　台詞はほぼなく、登場してくるキャラクターたちには表情がありません。映画というより、芸術作品を観ているような感覚になります。詩を基にして構成されているので、ちゃんとしたストーリーがあるっちゃありますが、正直難解すぎて完全には分かりません。（笑）パラジャーノフは映画界のなかでも特に美術的であり、難しいテーマやストーリーを軸に作品を撮ってきた監督です。絵画に命を吹き込ませるように、画面に映される装飾物や衣装、世界観がほんとうに美しくて、映画自体が美術館のようです。どのシーンを切り取っても芸術的で柔らかい、約１時間超、幻想的な夢を楽しめる唯一無二の映画です。

【２重螺旋の恋人】

　精神鑑定士の双子と恋に落ちるひとりの女性の葛藤や苦悩を描いた映画、官能的でシリアスなタッチを描いてきたフランソワ・オゾン監督の作品です。

　瓜二つの双子を同時に好きになってしまった女性の切ないラブストーリー…ではなく、最終的にはホラー映画になっているという、なかなか小難しさが渋滞している映画です。この映画のなかで大事な要素なのが「双子」なのですが、双子と主人公の恋愛が彼女の幼少期のトラウマや抱えている衝撃の事実へのメタファーになっています。劇中に出てくるさまざまな要素やポイントを確かめながら考えていくと、最後すこしだけ、すこしだけ物語が理解できるかもしれません…。（私は２回目でやっと半分理解できました。）オゾンが描くものは官能的であり、シリアス。人間の心理的不安や恐怖などを映像にするのがとても上手なのです。訳わからないくだりも多々ありますが、不穏な空気や怪しい世界観が好きな人にはオススメです！

【観るのに一苦労！難解映画３選】いかがでしたか？私はこの３コンボを連続で受けたら気を失うかもしれません。みなさま頑張ってみてください！（笑）

　というわけで、今回のシネフィルカフェも楽しんでいただけましたでしょうか？また次回も、みなさまとこの場所でお会いできることを楽しみにしています。今度は頭に優しい映画を持ってきますね。

　ではでは