上原浩治に聞く Q.24 日米で感じる「教え方」の違いとは?
選手が聞きにいかないと教えてくれない。メジャーではどのような関係をコーチと築いているのか。
――前回の続きになりますが、日米で感じる「教え方」の違いはなんでしょうか。
言ったとおり、メジャーは選手から聞かないと教えてくれない。
でも、それでコーチは楽をしている、というわけではないんですね。選手が質問をしに来たとき、すぐに答えられるように、「答え」は常にもっているんです。
つまり、コーチは全員の選手の投球フォームなり、バッティングフォームなり、クセなりというものがすでに頭に入っている。
――全員のですか。
はい。それに伝え方も違いますね。
僕も何度か話しをしにいったことがありますが、行けば必ず「俺はこう思うけどお前はどう思う?」という話し方をされる。僕ら選手の意見を必ず聞くんです。それって、押さえつけではないですよね。
そうしてお互いの意見をちゃんとぶつけ合って、それから「じゃあ、どうすればいいのか一緒にビデオを見ようか」となるわけです。
――なるほど、教えるでもなく、意見を一方的に言うでもない。
そうですね。僕の場合は、急に打たれ出したときがあって、自分のなかでこれは相手に読まれているな、という気がしていた。ちょっとクセがあるんじゃないかな、と。それでコーチに聞いたんですね。
――そこには監督や他の分析担当がいたりとか?
いや、通訳と三人ですよ。三人で話をして、ビデオを見て、という感じですね。
――実際にあったのはボストン時代ですか?
ボストンのときもありましたけど、テキサスのときありましたね。テキサスのときのコーチはお兄さんのほうのマダックスで、ボストンはトーリ・ロブロ。マダックスほど有名な方ではないんですけどずっとブルペンにいたんですけどベンチコーチをやっていますね。
僕のほうから「どう思いますか」と聞いてその時は「じゃあビデオを見てみようか」と。いろいろと見比べながら、意見を言ってもらいました。
――そういうやり方のほうが、すんなり入ってくるものなんでしょうか。
それはもちろんそうですよ。日本との比較となるとそれは一概にはいえないですけど、見てきて感じるのは、日本の場合、主力選手になってしまうとコーチももう教えないというか……。教えづらいというのもあるんだと思うんですけどね。
――なるほど、そういう意味ではきちんと選手から聞きにいく姿勢が重要だと。
そこは、前に話した練習だったり日頃の姿勢っていうものと関連してくると思います。日頃から一生懸命やっている人には、苦しんでいたら助けたい、と誰もが思いますよね。教えてもらって結果がでれば、その選手もコーチのために頑張ろうと思える。
そういういいサイクルに持っていくことが重要なんじゃないかなと思います。
明日の第二十五回の質問は「Q.25 誰かのために頑張るモチベーションとは?」です!