登美丘高校をはじめ強豪揃いの大阪ダンス部!
その実力の秘密は関西人の気質にあり!?
東京勢はセンスと華やかさで対抗!?
関西ダンスの「強さ」の秘密
◆「負けん気」の強さと「笑い」の文化
他に関西人の気質として挙げられるのが「負けん気」の強さである。
ダンス部はそもそも文化系と体育会系の両面を持ち合わせる部活であるが、関西のダンス部がより体育会的な取り組みをしていることはステージを見ても取材をしてもわかる。徹底した基礎練や筋トレ、規律の正しさ、指示系統、部員同士のチェック機能などなど、どの学校も練習中はピリッとしたムードのなかで合理的に練習を進める。基礎力の向上のためには、チームとしてある程度の厳格さが必要であるし、全体のレベルを上げるためにはお互いの弱点を指摘し合わなければいけない。その点で関西のダンス部には無駄がない。持ち前の負けん気で基礎トレに取り組み、互いの指摘をするタイミングや言い方にもまったく躊躇がない。
あと忘れてはいけないのが「笑い」の文化。
関西には他とは違う独特の芸能文化が根づいており、小さい頃から「笑かすこと」、あるいは「ボケる」「ツッコむ」という丁々発止のコミュニケーションが日常的だ。それが顕著に作風に生かされているのが登美丘高校なのだが、別に笑いの方向に走らずとも、「ボケ/ツッコミ」というのは緊張と緩和のバランス感覚なので、それが作品作りに生かされている面は大いにあるのだろう。また「目立ちたがり屋」「純粋な楽しむ気持ち」「切り替えが早い」という彼らの気質もまた、ダンサーとしては有利に働く要素だと言える。
ダンスは古来コミュニケーションツールであり、人と人の間をつなぐ、いわば無駄な壁をなくすもの。何より、関西のダンス部から感じることは、コミュニケーション能力の強さだ。それは学生たちが人間形成の時期に身につけるべき能力、将来の「人と関わるチカラ」にも変換されていくだろう。
(『ダンス部ノート』より構成)
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KEYWORDS:
『ダンス部ノート』
石原久佳
わずか150秒の舞台のために
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