ドラマ『シャーロック』ディーン様ワールド全開、上質かつジューシーなミステリーここにあり
今宵、どんなドラマを描こう 第6回
■常軌を逸した主人公がよくお似合いのディーン様
『シャーロック』
関西テレビ/毎週月曜 よる9時
“犯罪捜査コンサルタントの誉獅子雄(ディーン・フジオカ)と、精神科医の若宮潤一(岩田剛典/J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)の二人が、タッグを組み、様々な殺人事件を解決していく。あくまでも警察組織の人間ではない、でも類まれな人間観察力を持つ誉が次々に事件を解決していく様子は爽快そのもの。”
いいミステリードラマに出会うのは難しいとしみじみ思う。殺人事件を扱うことになるので、ある程度の慎重さは求められるミステリー。そのうえ、大概の作品において変わり者だと評される主人公を探すのも一苦労。笑いと神妙さのミックスという方程式はなかなか解きづらい。ただこの秋のドラマでは、先述の条件をクリアした作品『シャーロック』を毎週楽しみにして観ていた。久々に出会うことができた、気の合うミステリーの登場だ。
何が面白いかといえば、私はディーン・フジオカさんの存在に尽きる。この作品の原作は、世界中に数知れないファンを持つ『シャーロック・ホームズ』。テレビ向こうには原作の類まれな面白さを知っている人間が待ち構えている。日本の漫画を実写化すると賛否両論が飛び交うけれど、今回はその数倍の意見があったに違いない。
その揶揄と称賛の波の中にするっと溶け込んでいるのが、ディーンさん。先週放送の第9話にも、その(良い意味で)素っ頓狂ぶりが現れていた。
舞台はとあるレストランで起きた殺人事件。誉たち4人が初めて店を訪れたその日、二番手のシェフが殺されていた。なんとかその事実を隠そうと、シェフらが営業を続けるものの、違和感は誉にバレてしまう。本日のメニューの用紙が不自然に二枚重ねになっていた、パティシエがじゃがいもの皮をむいていた……と、重箱の隅を突きまくる推理を重ねていく。
「俺はこの店がオープンをした直後に何か異常事態があったと考える。おそらく、この店の終焉を予感させるような事件だ」
まず昨今のドラマでも見かけない強引な物語がドラマの中に流れてゆく。そしてこの放送では、レストランから舞台が動くことはなかった。それでもディーンさんによる、あの威風堂々とした雰囲気の演技が全てを解決していた。実際に衣装で着ていないけれど、本家本元のシャーロックのごとく、帽子をかぶって、トレンチコートで踵を返してもなんら不思議さは漂ってこない。そんなゾクゾク感がこのドラマにはあった。
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