現役時代のイチローは“完璧主義者”ではなかった⁉
「完璧主義者」ではなく「最善主義者」を目指そう
年間262安打の大リーグ新記録、10年連続200安打達成…。イチローの偉大なキャリアは、日々、自分なりの「最善」を尽くすという強い信念で支えられていた。数々の言葉から、人生を切り開くヒントを読み解く。(児玉光雄 著『イチロー流「最善主義」で夢を叶える』より)
■「満足の基準は、少なくとも、誰かに勝ったときではありません。自分が定めたものを達成したときに、出てくるものです」
(2004年10月にメジャー通算安打記録を達成したときに語った言葉)
イチローは典型的な“最善主義者”である。最善主義者と対比されるのが“完璧主義者”である。多くの人々が「現役時代のイチローは完璧主義者だった」と考えている。しかし、その考えは明らかに間違っている。
そのいくつかの理由を示そう。まず、現役時代のイチローは結果にはまったく無頓着であったということ。彼の意識は常にプロセスに向いていた。これこそ最善主義者の特徴である。
一方、完璧主義者は常にライバルと比較したり、成果に敏感である。だから片時も気持ちが休まることがない。
次に、最善主義者は「ベストを尽くすこと」に意識を置いている。だから、たとえどんな結果に終わろうとも後悔しない。結果安定したストレスフリーのメンタル面を確立することができる。
一方、完璧主義者は、失敗を恐れるだけでなく、犯した失敗に過剰反応するから常にストレスを抱えている。当然行き当たりばったりの行動に終始するから成果が上がらない。
現役時代のイチローのように、ただひたすら自分の定めたやり方で最高の成果が上がるための努力を積み重ねよう。それこそ一流の仕事人の行っているやり方なのである。
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児玉 光雄
他人との比較ではなく、常に自分が定めた目標を基準として、偉大な記録を残してきたイチロー選手。「完璧主義」ではなく、あくまで自己ベストに徹底したその「最善主義」を、引退までの100の言葉から紐解く。巻末付録として、2019年3月21日に行われた引退会見全文も収録。スポーツ心理学のエキスパートである著者による、イチロー本の決定版。