逆説的自己啓発本としての貧困女子本
貧困女子本は女子小中高生の必読図書になるべきだ
■苦境に陥らないために女性はどうするべきか?
『東京貧困女子。』に紹介されている貧困女子事例を少し紹介する。
たとえば、家庭からの経済的支援がいっさいないので「パパ活」や風俗でアルバイトをして経済的自立を果たし、学業を続けている国立大学医学部の女子学生。オンライン掲載時には、中高年の男性たちから、この女子学生に対して批判コメントが殺到したらしい。しかし、女性読者ならばこの医学生に共感する。若く美しい時期だからこそ売り物になる自分の肉体を売って学業を続けることのどこが悪い。
たとえば、非正規雇用の公立図書館司書として働く、いわゆる官製ワーキングプアの手取り年収160万円の37才の女性。資格は需要があり確実に食っていけるものを選ぶべしと女性読者は思う。司書という仕事は欧米では社会的評価も高いが、文化後進国の日本では司書の重要性は認識されていない。これは周知の事実だ。
たとえば、一部上場企業に正規雇用で勤務していたのに、精神病の姉の介護のために離職し生活苦に喘ぐ53歳の女性。姉のケアのために自分を犠牲にするような一家心中的心性は捨てるべきだったと女性読者は思う。
たとえば、一流大学を卒業し外務省のキャリア官僚と結婚したのに、ガンの母親の看病と闘病のために「夫の貯金」を惜しみなく使い離婚された55歳の女性。親孝行は自分の金でしろ、自分の金でできないなら親を見捨てるしかないと女性読者は思う。
このように、貧困女子本に紹介される事例を読みつつ、女性読者は考える。このような苦境に陥らないために女性はどうするべきか?どのような対策が考えられるか?
だから、貧困女子本は、中流階級に属する女性にとっての逆説的自己啓発本になる。女子小中高生の必読図書になるべきなのだ、貧困女子本は。
しかし、このことは、『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』に私は書かなかった。あまりに、えげつない感じがしたから。書くべきであったかもしれないのだが。
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KEYWORDS:
『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』
著者/藤森かよこ
死ぬ瞬間に、あなたが自分の人生を
肯定できるかどうかが問題だ!
学校では絶対に教えてくれなかった!
元祖リバータリアンである
アイン・ランド研究の第一人者が放つ
本音の「女のサバイバル術」
ジェーン・スーさんが警告コメント!!
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これは警告文です。本作はハイコンテクストで、読み手には相当のリテラシーが求められます。自信のない方は、ここで回れ右を。「馬鹿」は197回、「ブス」は154回、「貧乏」は129回出てきます。打たれ弱い人も回れ右。書かれているのは絶対の真実ではなく、著者の信条です。区別がつかない人も回れ右。世界がどう見えたら頑張れるかを、藤森さんがとことん考えた末の、愛にあふれたサバイバル術。自己憐憫に唾棄したい人向け。
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あなたは「彼ら」に関係なく幸福でいることだ。権力も地位もカネも何もないのに、幸福でいるってことだ。平気で堂々と、幸福でいるってことだ。世界を、人々を、社会を、「彼ら」を無駄に無意味に恐れず、憎まず、そんなのどーでもいいと思うような晴れ晴れとした人生を生きることだ。「彼ら」が繰り出す現象を眺めつつ、その現象の奥にある真実について考えつつ、その現象に浸食されない自分を創り生き切ることだ。
中年になったあなたは、それぐらいの責任感を社会に持とう。もう、大人なんだから。 社会があれしてくれない、これしてくれない、他人が自分の都合よく動かないとギャア ギャア騒ぐのは、いくら馬鹿なあなたでも三七歳までだ。(本文中より抜粋)