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KYで気持ちよく生きるのが私たちの新ルール。
気配り&目配り&心配りはマウティング女子に任せておけ

【女子楽也 Vol.1】 KYで生きることは大人になった証拠

■この世は3分間が経ったらすべて過去

 何も私は自由奔放、縦横無尽に明日から無職として生きようとしているわけではない。もちろん勧めているわけでもない。今、社会人として働いているのなら、形は様々でもある程度のマナーは知っている。親を泣かせて警察に捕まるようなことはしていないし、納税率も100%。もうこれで人間として合格ではないかと思っている。

 では今、どんなKYに目覚めたのか? 私、大雑把そうな雰囲気に見られがちで意外と周囲の顔色を伺うことが多い。ストレスが原因で蕁麻疹が出てしまうこともある。その性分ゆえ、時間をきっちり守るタイプで遅刻もしない。これは一般的には当たり前かもしれないけれど、メディア業界は非常にゆるく、沖縄タイムで進行することが多々ある。昔、出版社の社員だった頃はこの波にまんまと乗っかっていたけれど、個人事業主になってから改心した。スケジュールを守らないことに何の得があるのだろうと、思ったのだ。

 ビジネスにおいて時間、及び数字を守らないと信用は悲しいくらいにどんどん薄くなっていく。それだけならいい。問題はその先に、遅延する人物を待っている人たちも増大していくということだ。私はこの“待っている人たち”になった経験が数えきれないほどある。その度に余分なストレスを体内に溜めてしまったのか、肌が荒れた。

 で、ある日決めた。遅延する人たちは最後まで待たずに、KYとなって次々に進行すること。そうでもしないと、結果、迷惑を被るのは自分。仕事も自分のためにしていることなのに、他人にペースを乱されてどうする。それに数字を守れない人たちと、私のようなタイプはお互いに悪気はないのだから一生意見が一致することはない。相手を正しく調教する義務もない。なら、無視。この時間を守らないことと同類の『メールの返信が遅い男』のことも『してしな本』P189にも書いたので、こちらも本当に読んで欲しい。

 進行してもしアクシデントが発生したら、それが諸悪の根源である遅延者に託す。もうそれでいい、合わない人間のことを考えて脳みそを使うのはもったいない。都合の悪いことは忘れるに限る。この世は3分間経ったら全部過去だ。

 それよりも今日の夕ご飯は何にしようかとワクワクしていたい。もしあなたが、KYぶりを発揮して残業を蹴飛ばして帰宅して、その後何が起こったとしてもこの世の大概のトラブルは処理できるようになっている。その日解決できなくても、いつか時間が解決してくれることだってある。

 話を少し戻そう。結婚していないから誰かに迷惑をかけたことがあるだろうか? いや、むしろ独身として散々ご祝儀も出産祝いも払い続けた実績がある。残業も飲み会の幹事も時間があるだろうと押し付けられて、断れなかったことだってあるだろう。ちなみに私は多いにある。

 KYを選択するときは少しだけ良心の呵責を感じることがあるかもしれない。でもそれは悪いことではない。きちんとすべきことをこなしてきたあなたへのプチ贅沢みたいなものである。

「え、知らなかったです!」

 これを合言葉に、めんどくさそうな香りがする人物や雰囲気からは距離を置こう。知っているだろうか、KYとは空気が読めないの意味の他に『危険予知』という意味がある。そう、自分の心身を守るための常套手段に加えていい。

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小林久乃

こばやし ひさの

コラムニスト、編集者

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(K Kベストセラーズ)にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊行)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーションなどを業とする、正々堂々の独身。最新情報はhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp

 

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