『G線上のあなたと私』この冬のときめきは全て中川大志にさらわれてしまった
今宵、どんなドラマを描こう 第8回
■ドラマ要素のおいしいところをギュギュッとな
『G線上のあなたと私』
TBS/毎週火曜 よる10時
“婚約破棄をされて仕事も同時に失った小暮也映子(波瑠)が新しい一歩を踏み出すために始めたのは、バイオリン。音楽教室に通い始めて、そこで出会ったのは大学生の加瀬理人(中川大志)と、主婦・北河幸恵(松下由樹)。年齢も境遇も全く違う三人に友情が芽生え、いつしか也映子と理人はつき合うようになる。この恋の行方はどうなるのだろうか?”
TBSで火曜22時に放送されるドラマは、年上女性と年下男子の恋愛が頻繁に放送される至福の1時間だと勝手に思っている。『中学聖日記』(2018年)、『初めて恋をした日に読む話』(2019年)、そして今回の『G線上のあなたと私』。今夜放送の最終回を目前に控えて、第9話では今までのストーリーがほぼ素っ飛んでしまうほど、甘酸っぱいシーンの連打。その内容を振り返って行きたい。男性読者のみなさま、しばらくの間は控え室にてお待ちください。
ただ単に恋愛模様を描いていくドラマも楽しいけれど、そこに何かプラスアルファのムカつきが欲しくなる。その効果によって、ストーリーを追うのがさらに楽しくなってくるからだ。今回は也映子役の波瑠さんが、絶妙に視聴側がもやっとする雰囲気を醸し出している。思い返せば、この(勝手に)女性ゴールデンドラマタイム枠で、波瑠さんが主演をするのは2回目。前回は今回と同じマンガ原作者・いくえみ綾の『あなたのことはそれほど』(2018年)だった。傍目には100点満点の旦那の妻でありながら、物足りなさを感じて不倫に走る役。はっきりしない態度がイライラすると当時もネットで話題に上がった。それに対して、ご本人自らがブログを通して意思を発信もしていた。
そして今回の也映子役。婚約者に捨てられるという冒頭は、女性視聴者の同情を得たものの、その後がまたはっきりせず、もやもやする。結婚をしたい、しなければという呪縛からも抜けられず、メガトン級に可愛い年下彼氏ができても
「辛い……(中略)バイオリン(を習っていた頃)に戻らない?」
「好きの……その先が怖いです」
と自分が適齢期であることをチラつかせる。
「(え? は? 年下のことを好きだっていておきながら、覚悟を決めていなかったの? 大丈夫だ、也映子。あともう少ししたら8歳差なんて全く気にならなくなるし、文化は日進月歩で進んでいるから時代が味方をしてくれる)」
そう思いながら、見ていた第9話。思えば、彼女が年上の幸恵に
「幸恵さぁ〜ん、会いたかったですぅ」
と懐いていく以前放送されたシーンも引っ掛かっていた。自分よりも年上の女には、甘い顔を見せて、年下の男にはこじらせ発言の連発。マジで拙著『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』を読んで一度改心して欲しい。
こんな女性が主役。演じているのは、波瑠さん。彼女の演技力は果たしてどこまで続いているのだろうか。機微のはっきりしない女性を演じるほど、難しいことはないと思うけれど、彼女はすんなりその力を手にしてしまった。
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