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『G線上のあなたと私』この冬のときめきは全て中川大志にさらわれてしまった

今宵、どんなドラマを描こう 第8回

■女性ファンの思うがままに成長を遂げる中川大志

火曜ドラマ『G線上のあなたと私』より (c)TBS

 そんなこじらせ年上女性に惚れてしまった理人。ここらで第9話にて披露された至高のセリフを並べてみよう。

「(同級生向かって)彼女だけど!」

「みんなに也映子さんを見せてやりたいなーと思って」

「(也映子の)顔見たくなった、だめ?」

 まだ20年間の人生で、たった二つ目の恋。純度が高いからこそ、駆け引きもなく伝わってくるストレートな愛情表現にこちらも腰を抜かした。こういう男子、2020年の東京にも増殖してくれないだろうか。

 そしてこの理人を演じているのは、中川大志さんだ。実はそんなにご本人のファンでもないのに、他媒体でもたびたび彼の演じた役柄について書かせてもらっている。あんまり書くのもどうかと思ったのだけど、それだけドラマオタクにも引っかかる演技を彼がしているのだと『なぜ彼が女性から支持されるのか』を今回も考えてしまった。

 子役から活動していた中川さんが、世間に知られるようになったのは『家政婦のミタ』(日本テレビ系・2011年)の長男役。思い返すと、まだ未完成のイケメン感あふれる13歳。なかなか母親の死から立ち直ることができない、父親の浮気を許せない演技が可愛らしかった。ここから順々に役を重ねて、成長していく彼がいい男の頭角を見せてしまったのは『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系・2018年)の馳天馬役。役名のごとく、馬に乗って現れた貴公子は文武両道なうえに、優しさに溢れていた。

 

「(これか……)」

 

 子役からスタートした俳優が、無事にイケメンに成長することは稀だ。でも中川さんは、すくすくと理想の好青年に育っている。しかも年齢と抜群にリンクする役を演じているのが、また心をそそる。朝ドラ『なつぞら』(NHK総合・2019年)は別として、今回は飲酒可能な役にまで到達した。次回は『みずほ銀行』のCMのように新入社員の役だろうか。

このわかりやすい成長ぶりを見守っていられるのが、女性ファンの心をガッチリ掴んで離さないのだと思う。青田買いも、愛でることも楽しむことができるのは女性ならではの特権みたいなものだからね。

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小林久乃

こばやし ひさの

コラムニスト、編集者

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(K Kベストセラーズ)にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊行)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーションなどを業とする、正々堂々の独身。最新情報はhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp

 

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  • 2019.11.30