「借金返済できない」からくりの話をしよう!亀田興毅「令和の多重債務」問題を深掘りする
亀田興毅の“大人の社会科見学”【過払い請求・多重債務編❶】【PR】
◆司法書士と弁護士、行政書士の「違い」ってなんですか?
亀田興毅(以下「亀田」と表記)・・・まず司法書士って職業がわからないので聞きたいんですけど。弁護士、行政書士とどう違うのでしょうか?
杉山先生(以下「杉山」と表記)・・・司法書士とは、簡単に言えば、「弁護士の小さい版」ですね。専門にしているのが、法務局に提出する登記と供託です。例えば、家とかマンションなどの不動産の名義を変えたりしますよね。その手続きの代理するのが司法書士の基本的なお仕事です。ほかには会社作る時のお手伝いですね。会社設立は法務局に法人登記するので、そういう登記仕事がメインだったんですね。それがおおよそ18年前ぐらいの2002年頃ですかね。今はご存知のように「認定司法書士(簡易裁判所で取り扱う民事事件であれば弁護士と同様に代理人ができる)」として「多重債務」問題を扱ったりしています。弁護士は法的制限がなくトータルサポートができるのですが、司法書士の場合は、「140万円までに限り」個別の債権、つまり「借金・過払い金問題」について相談・交渉・訴訟ができることになっているんです。行政書士とは、「役所」などの行政機関に対して出す書類を作成するのがお仕事です。いずれも資格試験に合格するのが必要です。
亀田・・・杉山先生は今や消費者金融が恐れる「過払い請求」で実績NO.1の司法書士ですよね。そもそも、借金問題、過払い請求を扱うようになったきっかけは何だったんですか?
杉山・・・私は出身が鳥取で東京の大学へ進学し、司法書士は大阪でなったので「地縁」とかはまったくなかったんですが、従来の司法書士の仕事は、他の人の仕事の成果として仕事が発生するので、付き合いがないと仕事が回ってこないんです。いざ30歳になって独立した時に、業務の方向性で悩んでいました。そんな時、2001年当時、司法書士業界の法改正がなされ、広告が解禁になっており、試しで広告をやってみたら意外と集客があり、広告戦略っていうのは自分から内容や量を決めれば、それに応じて仕事が取れるものとわかり、伸ばしていったんです。それから今の仕事が中心になっていきました。
亀田・・・借金関係のお仕事ってことですね。
杉山・・・そうです。ひとりで効率的にやる範囲では過払い請求や多重債務問題のほうを伸ばしていった。『スポーツ紙』に三行広告を出したら相談者がひっきりなしに来てエラいことになったと思いました。
亀田・・・今は自らも発信できる時代ですもんね。当時、13年前はHPさえも身近なものではなかったですね。まだガラケー(携帯電話)時代でしたもんね。今も債務者が増えていっているんですか?
杉山・・・体感としては増えてます。当時始めたときは「過払い金」と言われるグレーゾーン金利問題(*註1参照)が中心となっていました。
過払い金とは貸金業者に払いすぎた利息のことです。本来の金利よりも多く払った分については貸金業者から取り戻すことができます。貸金業者の貸付の際に発生する上限金利は「利息制限法」という法律で決まっていて、借金の額に応じて15~20%となっています。利息制限法とは別の「出資法」という法律では2010年6月までは年29.2%を上限金利としていました(現在では出資法の上限金利は利息制限法と同じ金利で設定されています)。そのため、2010年以前に法改正があるまで多くの貸金業者は、出資法の上限金利29.2%を理由に本来の金利よりも高い金利を取っていました。利息制限法の上限金利を超える利息を取ったとしても出資法の上限金利29.2%までであれば罰せられなかったからです。この出資法と利息制限法の上限金利の差を「グレーゾーン金利」と呼び、このグレーゾーン金利で支払った分が過払い金です。また、貸金業者に払いすぎた過払い金を、取り返す手続きを過払い金請求といいます。
————(司法書士法人杉山事務所HPをもとに作成)
◆「過払い金」とは何か?
亀田・・・過払い金っていうのはどういうものなんでしょうか?
杉山・・・簡単に言うと「貸し手が決められた金利より高く取っていた」ってことです。もともと法定金利は、借りた金額により15~20%までだったんですが、上限金利の29.2%まで取ってたんですよ。この差がグレーゾーンなんです。「一定数の要件を満たしたら」29.2%まで金利を取ることは出来ましたが、ほとんどの業者はその要件を満たしていなかったために、払いすぎた利息があり、それを「過払い金」といいます。
亀田・・・もともと「29%でいい」って言っていたのに。
杉山・・・異なる二つの法律(出資法と利息制限法)があって曖昧になってたんです。その曖昧なところを最高裁判所が判断したところによると、ほとんどの業者が要件を満たさなかった。この「過払い請求」の手続きを、13年前に広告戦略で増やしていきました。私が目を付けたのは大手消費者金融などから、取り返した仮払金から報酬を受け取ればいいと考え、相談の敷居を低くすることを考えました。
亀田・・・成功報酬型ですね。
杉山・・・この成功報酬の対象となると言われているのが「アコム」とか「プロミス」などの大きい消費者金融会社(かつては「サラ金」とも呼ばれる)、また見落としがちですがクレジットカードのキャッシングも対象なんです。現在アコムは三菱UFJ銀行グループで、プロミスも三井住友銀行グループです。
亀田・・・銀行がお金を貸しているんでしょうか? 金利は?
杉山・・・過払い金請求の返還が多大となり、どこも銀行の後ろ盾がないと残れないようになってしまいました。金利も相変わらず高いですよ。29.2%ではないですけど、利息制限法は守って、額によって「15~20%以下」での貸付になっていますね。
亀田・・・銀行は信用がある企業には安く融資して、アコムなどの消費者金融を使って一般の個人から高い金利を取り立てているんですね。また一つの金融グループ会社にお金を貸しているんですね。銀行とサラ金が同じように見えてきました。
杉山・・・そうなんですよ。消費者金融を取り締まるために、年収の3分の1までにしましょうっていうルール(総量規制:2010年6月「貸金業法改正」施行)に決まったんですよ。でも銀行は銀行で「銀行カードローン」があるんです。銀行が貸しているので、年収の3分の1っていう「規制」に関係がないため、彼らは独自に個人へバンバン貸します。例えば年収1000万の人だと330万円までしか貸しちゃいけないわけなんですよね。今でこそ銀行は自主的に規制を行っていますが、少し前までは個人は「銀行からの信用を得た」と勘違いをして新たに多重債務に陥る。つまり「銀行カードローン問題」が起きてしまいました。
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