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【女子楽也 Vol.3】 なぜ周囲と同調してしまうのかを振り返る

■同調して結婚を選ぶのは人生に対する冒涜

 前出の『凪のお暇』で凪が結婚を焦るシーンがあった。同僚に秘密でつきあっている彼氏も、同じ会社のエリートだ。この人と結婚すれば、自分は安泰の生活が送れて、母親にもうるさく言われない。そして、今までちゃんとした友人扱いをしてこなかった同僚たちに自慢ができる。そういう目論見が、凪の中にうごめいていた。これには私も共感した。

 

 こんな原稿を書いて、まさかの本を出版するまで働いているが30代は婚活に全てを捧げていた。

 

「結婚をして専業主婦になって、家事を楽しむ。PTAも積極的に参加する」

 

 今思うと、黒魔術にかかっていたとしか考えられない発想をしていた。実際、地元の友人たちは片っ端から片付いていたし、年齢も考慮すると焦燥感は増すばかり。

 

「早く子ども産んで、子育てを終えて、みんなで温泉行こうね!」

 

 そんなことをグループ内で言われて、イライラしていることもあった。ただ30代を経て、自分が結婚シンドロームに取り憑かれていたことに気づくと、途端に気持ちが楽になった。結婚はしてもしなくてもどちらでも構わない。もしもマウティングのために結婚をして、旦那に浮気をされて一家離散にでもなったらその時が本当に困る。その時のために稼ごうと決めて、今日のこの原稿がある。

 

 この人生は自分のもの。感情が動かないものに同調しない、苦手なものは避ける。生きていくとどうしても嫌悪感があっても、関わりを持たなければいけない瞬間がある。その時までにエネルギーを溜めておくのなら、私たちは同調している暇なんてないのだ。

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小林久乃

こばやし ひさの

コラムニスト、編集者

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(K Kベストセラーズ)にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊行)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーションなどを業とする、正々堂々の独身。最新情報はhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp

 

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