イチローが2009年のWBCで味わった「重圧」
自分が定めたルーティンを日々きっちりこなすことの大切さ
年間262安打の大リーグ新記録、10年連続200安打達成…。イチローの偉大なキャリアは、日々、自分なりの「最善」を尽くすという強い信念で支えられていた。数々の言葉から、人生を切り開くヒントを読み解く。(児玉光雄 著『イチロー流「最善主義」で夢を叶える』より)
■「自分が日の丸を背負ったとはとても言えませんが、国のプライドを懸けて戦うことは今まで経験したことのない恐怖でした」
(引退した後に2009年に開催されたWBCでの重圧に触れて)
2009年のWBCの決勝戦における劇的なイチローの決勝打は野球界で語り継がれるシーンである。それを簡単に振り返ってみよう。決勝までのイチローの成績は打率2割1分1厘と絶不調。そして決勝戦である。
9回裏3―2と日本がリードする場面で、ダルビッシュ有が抑え投手として登板。優勝への期待が高まる中、まさかの同点に追い付かれてしまう。そして延長10回、2死2、3塁。イチローはファウルで粘る。そして8球目、林昌勇の高速シンカーにバットを合わせ、センターに弾き返し、5―3と逆転して見事に優勝を果たした。
試合後、イチローはこう語っている。
「個人的には最後まで足を引っ張り続けました。韓国のユニホームを着て、キューバのユニホームを着て、最後にジャパンのユニホームを着ることができました。そして、おいしいところだけいただきました。本当にごちそうさまでした」
どんな状況でも、あるいはどんなにスランプであっても、自分の定めたルーティンをきっちりこなし、淡々と目の前の作業にのめり込んでベストを尽くそう。絶対にあきらめてはいけない。イチローのそういう姿勢を学べば、あなたの身の上にも、突然すごいニュースが届けられる。
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児玉 光雄
他人との比較ではなく、常に自分が定めた目標を基準として、偉大な記録を残してきたイチロー選手。「完璧主義」ではなく、あくまで自己ベストに徹底したその「最善主義」を、引退までの100の言葉から紐解く。巻末付録として、2019年3月21日に行われた引退会見全文も収録。スポーツ心理学のエキスパートである著者による、イチロー本の決定版。