アニメ「かげきしょうじょ‼」が描いた理想と、ミイヒらが示す現実。『痩せ姫』刊行5周年に思うこと【宝泉薫】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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アニメ「かげきしょうじょ‼」が描いた理想と、ミイヒらが示す現実。『痩せ姫』刊行5周年に思うこと【宝泉薫】

 そこで連想するのが、アンデルセンの童話「人魚姫」である。このヒロインは人間への憧れや執着のために、声と人魚としての幸せを失い、そのかわり、歩くたびに痛む脚と王子に愛されなければ死ぬという運命を得る。不幸にも思える選択だが、自らが決めた生き方に殉じたからこそ、彼女の物語は哀しいほどの美しさを持つにいたった。

 痩せ姫もまた、そこに通じる存在かもしれない。その哀しくも美しい葛藤を伝えたいという想いは、5年前も今も、いや、ますます高まるばかりだ。

 もちろん、これは世の中全体に共有されるものでもないだろう。ただ、完全に無視されることもないはずだ。健康でありたいと願いつつ、不健康にも惹きつけられるのが人間だからである。

 そのアンビバレントな本質を象徴する痩せ姫は、誰よりも人間らしい葛藤を生きている。

 

文:宝泉 薫(作家・芸能評論家)

 

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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  • エフ=宝泉薫
  • 2016.09.10