トライアウト、合流!! 沈黙のバス
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記<4>
飛行機に乗ったとたん、不安が込み上げてきた <全4ページ>
わからないことだらけ
おまけに、考えてみればわからないことだらけであることにも気が付いた。挑戦を決めてから体を動かすことばかり考えていたけれど、現実として、この時点での僕が今回のトライアウトについて知っていることといえば、日程、体力測定と実践形式のテストがある、ということ。それだけだった。
体力測定ってなにをするんだろう。
実戦形式ってことはチーム分けがあるのか?
どうやってチームが決まるんだろう……。
高度が上がるにつれ、僕の緊張も高まっていった。
集合場所は高松駅としか書いていなかった。
空港からバスに乗って駅まで行き、集合場所を探してうろうろしていると、野球道具を持った3、4人の集団が目に入った。近づいていくと、スタッフらしき人が気付いてくれ、
「杉浦さんですね?」
と声を掛けてくれた。
「はい、よろしくお願いします」
ここでようやく野球をやるんだ、という実感が湧いてきて、少し気持ちも落ち着き始めていた。
そこからホテルまではバスで移動だった。およそ5分の距離。10くらい乗っていただろうか、誰ひとり口を開く人はおらず妙な緊張感が漂う車内で、僕は再び緊張しはじめていた。
ホテルに到着し、最初にトライアウトについて説明を行うとのことで、会議室へ通された。ざっと30人くらいはいただろうか。ズラッと並ぶ選手たちに僕は正直、ちょっとビビった。
「なんだ、こんなにいるのか! しかもみんな若いし、めちゃくちゃ上手そうだ……」
あまり選手を視界にいれたくない、と思った僕は迷わず一番前の席に座る。