初対面なのに“慣れ慣れ”しい男は怪しい…
~人気女性ライターが感知した“あかん男”たち~
クズではないけど、第六感の危険信号を刺激してくる男たち
そして結婚から3カ月後。幼なじみが私の家に泊まりにきた。そして、田舎で料理店を営んでいた夫の実家が、自己破産をしたと泣きながら報告をしてきた。驚愕である。そう言えば結婚式当日、
「何でウチ(嫁側)ばっかり、新婚の家財道具を買ったり、結婚式の費用を出したりしているのか」
そう彼女の母親が私に聞いてきたことを思い出した。なるほど、そもそも実家は借金苦だったのか。それなら祝いの金を出せなくても当然だ。
それだけではなく、結婚後に夫の大学の奨学金の返済が滞っていることも発覚。
「(夫の出身地の)秋田県の裁判所から通知が来たときは驚いた……。今から、毎月5万円支払うの負担は大きいよ……」
新妻に襲い掛かった、突然の借金地獄である。今でこそ、奨学金を借りるのはポピュラーになったけれど、私の年代で借りているというのは、珍しかった。
借金をしていることが悪いとは言わない。家庭には各々の事情がある。でもそれを黙って結婚するとは、不届き者にもほどがあるだろう。一方でその事実を隠すことしかできなかったのだという、彼を擁護する意見も分かる。ただ大事な幼なじみのことであるから、その意見は適用することはできなかった。
私は何度も彼女に離婚を勧めた。当時、知っている限りの知識で
「旦那はこれからも何かすると思うから、今のうちに別れろ。金銭的な被害が、あんたの実家までに及んだら大変なことになる」
そう説得した。噓は一度ついたら、それをつくろうために、どんどん上書きをしなければならないものだ。それと同じように一度でも後ろめたい事実を黙ったまま、土足で他人の家へ侵入してきた人間は、また何かを平気でしでかす。そして必ず夫は何かを抱えている。そんな気がしてならなかった。
でも彼女は私の話をゆっくりと聞いたうえで、旦那のことを愛していると言った。
そして2年ほど前。夫婦は夫の浮気により離婚をした。32歳の時に感じた私の第六感は当たってしまった。裏切りによって食欲が喪失してしまい、彼女がやせ細ってしまった姿も、号泣していたことも記憶に新しい。
浮気に至るには、夫婦間に瑣末な理由があったことも聞いていた。
でも結婚をする10年前、力尽くでも彼女のことを引き止めていれば、離婚という惨事も免れたかもしれない。女性にとって貴重な30 代をもっといい男と過ごすことができたかもしれない。そんなたらればが私の中に募った。予想外に経験豊富になった今の自分なら、もっと毅然とした言葉で、間違った道へ向かう彼女を引き止めることができたのに。
私はこんなシチュエーションだったけれど、もし大事な人から大事な人を紹介されるような場面があったら、慎重になってあげてほしい。それはあなたが審査員代表を任命されたということなのだ。
「?」
これが重要。そう感じることがあったら、それは愛情が起こしたサイン。大ごとになる前に、問題提起をしよう。
そして何もなかったらそれでいいじゃないか。
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