SNSを賢く使い、「自分ブランディング」のツールにする!【角田陽一郎×加藤昌治】
『仕事人生あんちょこ辞典——50歳の誤算で見えた「ブレイクスルーの裏技45]』
■経験・体験をアーカイブ化せよ
加藤:自分のブランドをある程度の形にしたい気持ちはある人がSNSを始める、ないしはもう一回仕切りなおすとしたら、どんな変え方がいいんだろうか?
角田:自分のTwitter の投稿や、それをまとめたnote の文章が溜まることは、自分の情報を外に貯蓄してるってことだと思う。自分という考え方を「アーカイブする」とも言える。まずそれをやるということなんじゃないか。
ブランディングの話でいえば、『仕事人生あんちょこ辞典』の【履歴書】の項でも話したけれど、プラスチック関係の人が「プラスチックコーディネーター」と名乗ったら、本を書けたわけではないけどフォロワーは増えたし、結果テレビの取材も来たんだよね。
だから「プラスチックコーディネーター」と名乗り「プラスチックコーディネーター」
という名前でTwitter をやることが、結果的にその人の個人をちゃんとつくり、その考
えを外に対して貯蓄することになり、やりたい仕事に近づくことになる。
加藤:その話をそのまま受け取ると「プラスチックコーディネーター」という自分への名付けが大事だって話と誤解しそうな気がするんだけど、角田くんが云ってることはさ、本当は「アーカイブ」のほうに重点があるんだよね。
その時に、「名付けが大事」って話も「ガワが大事だ」みたいな感じではないわけだよね? 「先にプラスチックコーディネーターって思いつかないとだめなんですか?」って誤解がありそうな気がする。
角田:ああ、そういう人はいるね。「自分は思いつかないんですよ」って言うんだ。
加藤:「自分が見えてくる」ためにも、まずは自分の経験・体験をどんどんアーカイブ化していく。それが自分のブランディングに繋がるってことなのかな。
角田:そうだね。本当は「卵が先か鶏が先か」なんだけどね。
加藤:たまごニワトリ。でも、やったことがない人にとっては、まず「アーカイブする」ってことに対する恐怖心が強いと思うんだよ。
「自分の人生をアーカイブしていく」ことに価値があって、そのアーカイブがしやすい世の中になったんだからアーカイブしないと損だ、と角田君はずっと云ってるじゃない。
その「アーカイブの場」として、人が読まない日記ではあんまり意味がなくて、「外にアーカイブしていくことが大事だ」という話だよね。
角田:「外に自分を置く」ことには結果的に危険を伴うわけだよ。クソリプが飛んでくるとか、プライベートが暴かれるとか。だから「そこにアーカイブするのが嫌だ」っていう感覚もまず分かる。
「先に卵」という意味でいうと、「自分はこういう人間で、この情報をアーカイブする。この情報はアーカイブしない」ってはっきり決めたほうがいいと言ってるのは、それをやることでちょっと安心できるからなんだ。
その時に一番ガードを固くするなら、自分の名前を出さないで全く違う人格でやる、『仕事人生あんちょこ辞典』で解説している「サードネーム」みたいな話になるわけだよね。
その上で、サードネームだろうがファーストネームだろうが、セカンドネームでもいいんだけど、自分の決めた名前で、自分の決めた思想の下、「渋谷で飲んだコーヒー」のことをコメントするなり、「昨日観たテレビ」のことをコメントする、みたいなことでアーカイブしていく。
そこで「自分がこういう人間だ」ということを定義しないで「ああ、コーヒーおいしかった」みたいなことを書いても、そのアーカイブはそんなに見てもらえない。よっぽど文章力があれば別だけど、誰と分からない人の文章なんて見てもらえないよ。