同じコンビニの店が近隣にも建つ理由 それはナゼ?
コンビニを見るときっと気づく、日本の経済と働く皆さんが元気になる兆しがある
いまや日本の日常生活に欠かせない「コンビニ」。もしそのコンビニがなくなったとしたら……。コンビニの最新施策を分析し、小売業の未来図を説く書『コンビニが日本から消えたなら』の著者で、日本一のコンビニ流通アナリスト渡辺広明氏が問いかける。(『コンビニが日本から消えたなら』より一部抜粋し再編集)
■ドミナント戦略はオーナーを守るため!? 問題の根が深い同一チェーンの近隣出店
しばしば街を歩いていると「同じコンビニチェーンの店舗ばかり建っている」といった光景に遭遇することがあるでしょう。ときには、隣や道路を挟んだ向かいに 同一チェーンのコンビニが建てられているケースもあります。
この理由は、フランチャイズ業界における「ドミナント戦略」です。
ドミナント戦略とは、一定の地域に集中的に出店していき、知名度を上げて競合他社よりも優位に立とうとする戦略です。コーヒーチェーンのスターバックスもドミナント戦略を得意としています。池袋駅周辺には10店舗以上、新宿駅周辺には20店舗以上も出店していて、両駅の周辺では、スターバックスの紙コップを持って街を歩いている若者が目立つ。その宣伝効果も計り知れません。
ドミナント戦略による出店には、大きく分けて2つの方法があります。1つは、 例に出したスターバックスのように、狭小エリアに集中的に出店していく方法。もう1つは、もっと大きなエリアで捉える方法です。たとえば、セブン-イレブンは 四国に進出する際、一挙に30店舗ほど同時に出店することで、強いインパクトを与えました。工場・物流センターを拠点とした配送効率においても、ドミナント戦略は理に適った戦略となるのです。
しかし、コンビニ本部にとっては合理的でも、オーナー側にとっては理不尽に感じるのがドミナント問題です。とくに、狭小エリアのドミナント出店は、店舗の売上が大幅に落ちるため、心情的には穏やかではありません。
ただし、同一チェーンによるドミナント戦略は、決してオーナーへの嫌がらせではありません。それどころか、むしろ「他社からのプロテクト」という側面もあります。近隣のテナントに他社のコンビニが入ってしまったら、それは単純に競合店の誕生を意味します。しかし、自社で押さえれば、オーナーを救う手立ても残されています。どういうことかと言うと、本部が同一チェーンの店舗を建てる際、近隣のオーナーに「新店舗も経営しませんか?」と多店舗経営を打診するのが一般的なのです。
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【渡辺広明氏 出演情報】
2/1(土曜)発売 雑誌『広報会議』書評ページにインタビュー掲載
2/8(土曜)テレビ朝日『サタデーステーション』20:54〜
2/12(水曜)BS日テレ『深層NEWS』22:00〜
2/15(土曜)発売 雑誌『DIME』
2/20(木曜) フジテレビ『Live News α』 23:40~
2/21(金曜) 静岡朝日テレビ『とびっきり!しずおか』16:45〜17:53
『コンビニが日本から消えたなら』
渡辺広明 (著)
少子高齢化デフレ、AIデフレという新地獄に負けない経済戦略が実はコンビニで行なわれている! 日本一のコンビニ流通アナリスト渡辺広明氏が誰にとっても身近であるコンビニの最新施策を分析し、小売業の未来図を説く。今話題のコンビニ問題と社会問題に関する解決策を提案。ここまで真相に迫りって述べた作品は今までない!すべての業界で働くビジネスマンにも通じる「いい仕事」をするために何を考え何をすべきかを説くビジネスの教科書となる1冊です。
全国一律、「24時間開いててよかった」をキャッチフレーズとし年中無休の利便性を打ち出していたコンビニが、キャッチフレーズを「近くて便利」に変更し、上質な品揃えと接客で「お客様から常に頼りにされる店」へと変化しています。それがめまぐるしく変化を遂げるコンビニのレイアウトや新商品展開、AI IoTの導入、セルフレジの導入、健康・医療サービス、高齢者へのサービス、エコな商品の開発などに見て取れます。
1.こういった日本社会が抱える課題点とコンビニの変化には密接なつながりがあり、その問題を解決する施策こそ、従事する「人」が描くべき経済戦略であり、5万8699店舗という小売業界世界No, 1を誇るコンビニが取り組む施策だからこそ、必ずや世の中の常識となっていきます。この経済戦略、働き方の新方程式への気づきを読者が得られます。
2.著者渡辺さんが、今までTVでは表現し切れていない、とっておきのリアルなコンビニ店長時代の体験エピソードを放出して頂きます。これは読み手にとって青春時代のコンビニを思い出す原風景であり、コンビニはそこまでするのか…と驚きの内容となっています。いい仕事を目指す人にとって、感動し涙すること間違いなしです。
この2点が本書の最大のおすすめポイントです。