突然死から家族を守るために…。<br />貴女に知ってほしい“潜病”というステージ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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突然死から家族を守るために…。
貴女に知ってほしい“潜病”というステージ

「突然死」の前に存在する微かなサインを見逃さない

元気だった人が突然倒れ、そのまま還らぬ人に…。
30代、40代という働き盛りの突然死が増加している。しかし、前兆なく訪れる悲劇に、本当に前触れはなかったのだろうか? そして、突然死を防ぐにはどうしたらいいのだろうか? 
「それには、健康の仮面をかぶった『潜病』という状態・ステージを知ることが重要です」
そう語ってくれたのは『なぜ、元気な人ほど突然死するのか 強い血管をつくれば健康になる!』の著者、日本循環器学会専門医・杉岡 充爾氏だ。愛する家族を守るために何ができるのか、その対策や健康の影に隠れた前兆について、じっくり話を聞いてきた。

■健康診断でもわからない「潜病」とは

 病気の前段階として使われる「未病」という言葉をご存知だろうか。これは、病気とは診断されないけれども、慢性疲労や頭痛、便秘などの不快な症状がある状態のことを指す。
 当然ながら「病気」には具体的な治療法があり、「未病」であれば病院に行く人も多いだろう。だが、病気でも未病でもない状態が「健康」なのかと言えば、そうとは言い切れない。なぜなら、それでは症状もなく突然亡くなってしまう人がいることの説明がつかないからだ。人が亡くなるには、必ず理由があると杉岡 充爾氏(以下「杉岡氏」と表記)は言う。
 
「突然死の原因で多いのが心臓の病気ですが、ある日突然、心臓が悪くなって病気になることはありません。突然死するくらい悪くなっていたということは、その何年も前から心臓は悲鳴を上げていたはずなのです。この『症状はないけれども、健康でもない』という盲目のステージ…それが『潜病(せんびょう)』の段階なのです」

 この「潜病」は、体にさまざまな悪影響を及ぼし、放っておけば命を落とす結果にもなりかねないという。つまり、突然死を防ぐためには、健康の陰に隠れた潜病にいかに早く気づき、対処できるかが重要だということだが…本人に自覚症状がなく、健康診断でも問題がないような状態で、どのようにしたら潜病を見つけることができるのだろうか。
 

■1日4杯以上コーヒーを飲んでいませんか?

「健康を害する状態とストレスは密接に関係しています。人間の身体には日々のストレスを軽減する『抗ストレスホルモン』というものがあるのですが、このホルモンが無くなってしまったり、無駄づかいをしてしまうと潜病が進行し、体や生活習慣にちょっとした変化が現れることがあります。ただし、これは病気の症状とは違って、見過ごされがちなサインなので注意が必要です」

 コーヒーを例にすれば1日4杯以上、多量のカフェインを摂取している人は注意が必要だという。この依存状態は、いわば身体に通常以上の負荷をかけて、無理をさせている状態と言えるからだ。エナジードリンクも同様で、身体から「抗ストレスホルモン」を絞り出しているため、自覚症状のないまま潜病が進行している可能性があるのだとか。もし、カフェインがないと集中できないということであれば、潜病状態にあると疑ってみる必要がありそうだ。

 また、疲れた時に甘い物が欲しくなる人は多いと思うが、これも身体からのSOSという可能性がある。糖を摂取すれば血糖値が上がり元気は出るが、強いストレスを受けている時も甘い物(快楽物質)が欲しくなるからだ。

「あとは朝、起きられないというのも潜病の典型的な症状ですね。通常であれば回復しているはずの抗ストレスホルモンが足りていない状態といえるからです。だから、ここで『だらしない』とか『早く起きて』などと言われると、さらにストレスを感じて抗ストレスホルモンを無駄づかいしてしまいます。講演ではよく奥さんたちに『なるべく優しく起こしてあげてください』とお話しています(笑)」

 目覚めが悪くなっていたり、カフェインや甘い物の摂取量が増えている人はストレスを処理できていない可能性が高く、潜病への注意が必要だ。
 

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杉岡 充爾

すぎおか じゅうじ

日本循環器学会専門医

医学博士

1965年生まれ。千葉大学出身。医学博士。すぎおかクリニック院長。日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会健康スポーツ医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

千葉県船橋市立医療センターの救急医療に約20年、最前線で日夜、心筋梗塞などの生死に関わる治療に携わり、約10,000人の心臓の治療にあたる。

■2014年5月「すぎおかクリニック」開院

■2017年より「ベストヘルスカレッジ」開講

■2019年より「予防医学の学校」オンラインスクール開講

■2020年より「杉岡義塾」開始

近著に『強い血管をつくれば健康になる!』(小社刊)。


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  • 杉岡 充爾
  • 2016.02.26