チャイコフスキー3大バレエあでやかな最高傑作たちの饗宴―大人のバレエ鑑賞入門―
牧阿佐美バレエ団 Presents 大人のバレエ鑑賞入門③
■バレエの完成それが3大バレエ
「時代ごとに、それぞれ異なった魅力を楽しめるのがバレエ。でも、やはり一番華やかなのは、19世紀後半のロシア、その代表こそチャイコフスキーの『3大バレエ』に違いありません」
バレエ研究家の川島京子さんが教えてくれた。
跡見学園女子大学准教授。
専攻は舞踊学、バレエ史。
早稲田大学・同大学院に学び、歴史・文化面に広がるバレエの芸術性を研究。
バレエの国ロシアに数ある劇場。その最高峰は、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場とモスクワのボリショイ劇場だ。3大バレエ誕生にもこの2劇場が大きくかかわっている。
チャイコフスキーが最初に手掛けたバレエ音楽『白鳥の湖』は、1877年にボリショイ劇場で上演された。ところがその評判は芳しくなく、一時、作品は完全に忘れ去られてしまう。その13年後、マリインスキー劇場は、バレエでロシア帝国を盛り上げようと豪華絢爛、莫大な予算をかけて『眠れる森の美女』上演を企画。劇場付き作曲家がいたにも関わらず、あえて大作曲家チャイコフスキーに作曲を依頼した。この作品は大成功を収め、その2年後には、同じくメルヘンの世界を題材にした『くるみ割り人形』を上演する。ところが翌1893年、チャイコフスキーが急死。その結果、この3作がチャイコフスキーの3大バレエとして残ることになった。
■ロマンティックな恋物語『白鳥の湖』
「一度は消えてしまった『白鳥の湖』でしたが、作曲家の死をきっかけにマリインスキー劇場は再びこの作品に光を当てます。物語をぐんと簡略化し、新しい振付には、すでに『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』を成功させていた巨匠マリウス・プティパと弟子レフ・イワノフが心血を注ぎます」
以来、評価は一変し、『白鳥の湖』は世界で最も愛されるバレエとなった。
湖のほとり。白鳥狩りに出かけた王子の目の前に現れたのは、悪魔の呪いによって白鳥の姿に変えられた美しいオデット姫。姫から悲しい身の上を打ち明けられ、真実の愛を手に入れれば人間の姿に戻れると知った王子は、姫に永遠の愛を誓う。しかし悪魔の罠にはまり、オデット姫にうり二つのオディール姫に求婚してしまい誓いを破ることに…もはや結ばれることのない二人は湖に身を投げてしまうのだった。
大勢の白鳥たちが織りなす純白の世界をバックに繰り広げられる、哀しい愛の物語は、見る者すべてを魅了する。
- 1
- 2
KEYWORDS:
【牧阿佐美バレヱ団公演情報】
『ノートルダム・ド・パリ』
公演日時:2020年3月14日(土)/15日(日)
会場:文京シビックホール 大ホール
“ダンスの魔術師”の異名を持つ振付家ローラン・プティが生み出した20世紀最高のスペクタクル・バレエです。
●日時:2020年3月14日土15:00、3月15日日14:30
●会場:文京シビックホール 大ホール ●上演時間約2時間(休憩含む)
●チケット:S席1万1500円、A席8000円、B席5000円、S席ペア2万1500円、
A席ペア1万5000円、B席ペア9500円(ペア料金の対象は2階席のみ)
●問い合わせ:info@maki-ballet.jp