無関係そうに見えるほど危険!この症状に心臓病が潜んでいる
心臓・血管の病気の専門医が明かす病の真実-③
■症状を見落とさないための心拍数・血圧チェック
症状から心血管疾患を推測することは極めて難しいのですが、一つだけ、すべての心血管疾患に共通する症状、または特徴があります。
それは運動能力の低下です。平たく表現すると、心血管疾患になると体力が落ち、今までは何ともなかった運動でも疲れてしまうのです。その理由は、心臓の機能を考えれば理解できるはずです。
心臓の役割は、筋肉を含む全身の臓器に血液を送り込むことです。したがって、心臓から体中に送られる血液の量が減ると臓器が不調になり、それが体力の低下やだるさとなって現れるからです。
しかし、息切れがしたり、だるいからといってすぐに心臓の異常だと早とちりすることもできません。誰にでも起こり得る症状ですし、病気がない方でも激しい運動をすれば息切れを起こすのは当然です。
そこで意味を持つのが、日ごろからの心拍数(脈拍)・血圧のチェックです。もし息切れやだるさの背後に心血管疾患が潜んでいれば、必ず心拍数や血圧にも変化が現れるはずだからです。息切れやだるさに加えて心拍数や血圧の上昇が見られれば、心血管に問題がある可能性がさらに高くなります。
繰り返しになりますが、われわれ専門の医師でも症状から心血管疾患を特定するのは極めて困難です。しかし心拍数や血圧の推移のデータさえあれば、推測の精度は一気に高くなります。日ごろから心拍数・血圧をチェックすることの大切さがご理解いただけたでしょうか。
■心臓の病院は恐ろしくない
このように症状から発見しにくい心血管疾患ですが、まったく手掛かりがないわけではありません。次回から、心血管疾患のリスクがある方々に特に注意して頂きたい4つの症状(あるいは特徴)である「運動能力の低下」「失神」「むくみ」「広範囲の鈍い胸痛」をご紹介します。
もしこれらの症状を自覚したら、病院でチェックされることをお勧めします。
その際には、心血管を専門とする「循環器内科」にかかってください。億劫になって、あるいは怖くなって病院に行きづらい方も多いかもしれませんが、検査を恐れる必要はまったくありません。われわれ循環器内科では、痛かったり辛かったりする検査はまず行わないためです。
多くの場合は問診にはじまり、そこに聴診、胸部レントゲン検査、心電図検査、あるいは超音波検査や運動負荷検査が加わるくらいで基本的な評価は行えます。
病院にかかりたがらない方々の中には、医師に恐ろしいことを言われるのが怖い方もいるかもしれません。特に心血管疾患には突然死のイメージがありますから、「突然死の恐れがあります」などと言われることを恐れて病院に行きにくい方もおられるかもしれません。
しかし、心臓病=突然死のイメージは間違っていることを思い出してください。仮に心血管疾患が見つかったとしても突然死の可能性は極めて低く、また、ほとんどの心血管疾患では有効な治療法が確立されています。
予防や治療が可能な病気で生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を下げたり命を危険にさらすのは惜しいと思いませんか?安心して循環器内科にいらしてください。
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KEYWORDS:
心臓・血管の病気にならない本
著者:山下武志
日本人の半数は心血管疾患で亡くなっている!
血液を綺麗にし、心臓を鍛えて、健康に長生きする方法とは?
日本人の死因2位・3位※を占める心疾患と脳血管疾患は、両者を足すと死因1位のガンに匹敵します。また日本人の9割は不整脈を患っているともいわれています。
しかし、心臓や血管の病気はガンとは異なりメディアの注目度は低く、一般の人々の知識は驚くほど不正確です。著者はかねてよりその状況を憂い、正しい知識の普及に務めてきました。「心臓と血管の病気は慢性病」「年間2万人が命を落とす危険な不整脈=心室細動」など、「長生きして健康でいる」ために欠かせない、おだやかな血液と余裕のある心臓を作る習慣を伝授します。
著者は日本一の「不整脈」の名医と言われ、これまでテレビ『NHK健康チャンネル』や『世界一受けたい授業』など多数のメディアに出演しています。
※2017年度・厚生労働省調べ
目次
第1章 心臓・血管の病気は怖くない
第2章 心臓・血管の病気はこうして起こる
第3章 誰も知らない不整脈の真実
第4章 余裕のある心臓とおだやかな血液を手に入れる
第5章 心臓・血管の治療を成功させる