最も危険な心臓病の症状「失神」が死に直結しかねないのは何故か
心臓・血管の病気の専門医が明かす病の真実-④
■「数週間前から」「たまに」現れる症状が危険
私たち医師が患者さんの症状をチェックするときには、単にその症状の内容だけではなく、
・いつから症状があるか
・症状はよくなっているのか、悪くなっているのか
・症状はどのくらい続くか
を重視します。
心血管疾患の場合、「〇年前から症状がある」「1日中症状が感じられる」というようなケースの多くは、それほど心配は要りません。
もし本当に心臓に問題があるならば身体に極めて大きなダメージを与えるため、1年以上も症状が続くことは考えにくいですし、1日中症状が出ているほど重ければ、自力で病院に来るのは難しいと考えられるからです。
逆に危険なパターンは、
・数カ月〜数週間前から、ときどき症状がある
・だんだん悪くなっている
・症状は一瞬ではなく持続するが、長時間は続かない
というものです。
心血管疾患は年単位で悪化するがんとは異なり、もう少し短いスパンで症状が悪化するのが特徴です。また、症状が1日中続かず、数分〜数十分程度で治まるのも特徴です。症状が治まったからといって安心せず、現れるたびに悪化しているようならばすぐに病院に行ってください。
■走れなくなったら要注意
注意して頂きたいもっとも代表的な症状は、「走れなくなる」とか「階段を上がれなくなった」といったものです。すなわち、運動能力の低下です。
いつも上がれていた駅の階段が、急に辛く感じられるようになったら要注意です。心血管に何か異変が起きているかもしれません。
運動能力の低下は、どんな心血管疾患でも確実に現れる症状です。もし命に係わるような心血管疾患があれば、間違いなく、走ったり階段を上がったりすることが苦しくなるはずです。
逆に言うと、たまに一瞬、脈が抜けるくらいの症状があったとしても、問題なく走れるケースがあります。それはつまり、差し迫った問題はないということです。
運動能力の低下を含めた、ご紹介する4つの症状、すなわち「運動能力の低下」「失神」「むくみ」「範囲の広い鈍い胸痛」の原因が心臓にある場合、症状は数時間単位で急激に悪化することがあります。すぐに病院に行ってください。
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KEYWORDS:
心臓・血管の病気にならない本
著者:山下武志
日本人の半数は心血管疾患で亡くなっている!
血液を綺麗にし、心臓を鍛えて、健康に長生きする方法とは?
日本人の死因2位・3位※を占める心疾患と脳血管疾患は、両者を足すと死因1位のガンに匹敵します。また日本人の9割は不整脈を患っているともいわれています。
しかし、心臓や血管の病気はガンとは異なりメディアの注目度は低く、一般の人々の知識は驚くほど不正確です。著者はかねてよりその状況を憂い、正しい知識の普及に務めてきました。「心臓と血管の病気は慢性病」「年間2万人が命を落とす危険な不整脈=心室細動」など、「長生きして健康でいる」ために欠かせない、おだやかな血液と余裕のある心臓を作る習慣を伝授します。
著者は日本一の「不整脈」の名医と言われ、これまでテレビ『NHK健康チャンネル』や『世界一受けたい授業』など多数のメディアに出演しています。
※2017年度・厚生労働省調べ
目次
第1章 心臓・血管の病気は怖くない
第2章 心臓・血管の病気はこうして起こる
第3章 誰も知らない不整脈の真実
第4章 余裕のある心臓とおだやかな血液を手に入れる
第5章 心臓・血管の治療を成功させる