健康診断ではわからない! 「突然死」を予防するキーワード【潜病】とは何なのか?
予防医療のスペシャリストに聞く突然死の前兆と対策
■無理のない運動で血管を強くする
ライフスタイルの見直しに加えて、血管自体を強化することも忘れてはいけない。そのためには有酸素運動が大切だ。なぜなら、運動で内臓脂肪を減らすことによって、傷ついた血管を修復する「アディポネクチン」というホルモンを分泌することができるからだ。
「ウォーキングやジョギングといった有酸素運動を定期的に行うことで、内臓脂肪は必ず減らすことができます。内臓脂肪が増えると血管は詰まりやすくなるので、お腹まわりをすっきりさせましょう。見た目も良くなり突然死の予防にもなる。一石二鳥です」
とはいえ、普段あまり運動をする習慣のない人にとって有酸素運動はハードルが高いのが正直なところだろう。そこで(本来であれば意識的に運動する時間を設けるべきなのだが)、通勤時間や休憩中にできて、なおかつ内臓脂肪を減らすためにおすすめのトレーニングを杉岡氏に教えてもらった。
「腹筋トレーニングである『ドローイング』は、お腹をへこませるだけの簡単な運動なのですが、内臓脂肪を減らす効果はバツグンです」
① 肩幅くらいに足を開いて立ち、お腹をリラックスさせる
② 3秒くらいかけて鼻から息を吸い込み、お腹をふくらませる。
③ お腹を思い切りへこませながら、6秒くらいかけてゆっくりと口から息を吐き出す。そして、お腹に力を入れながらさらに2秒息を吐き、お腹をギュッとへこませる。
④ お腹に力を入れて、お腹をへこませた状態をキープ。息は止めないで、自然に呼吸を続ける。まずは30秒を目安に。
このドローイングは、座っても横になっても同じように行えるのだそう。杉岡氏も毎日行っているという朝の100回ジャンプと合わせて、さっそく今日から生活に取り入れていただきたい。
■自分と大切な人に「潜病」が無いかを見直して、突然死を予防する
ここまで述べたように「潜病」から脱して突然死を防ぐには、日常生活やライフスタイルの改善が重要だ。しかし、染み付いた生活習慣というのは一人ではなかなか変えられないもの…。
だからこそ身近な人、特に生活をともにする家族の目や協力が非常に有効ではないだろうか。
日常の些細な変化に気づくことができるし、夫婦や親子で一緒にエクササイズをするのも良いだろう。その結果、自分だけではなく大切な人も突然死から守ることができるのだ。
「でも、無理はしないでください。人間ですから、たまにはエクササイズを忘れる日や寝坊する日もあると思います。予防がストレスになって副腎疲労してしまったら本末転倒ですから(笑)」
自分や家族が健康だと思っている貴女も、生活の中で突然死の原因となる潜病はないかどうか、今一度見直してみてはいかがだろうか。
そして、突然死を「急に起こる不幸」ではなく「予防可能な自分ごと」として捉え、できる範囲で予防に取り組んでほしい。
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