新型コロナで大打撃を受ける ~カネ儲け主義の歯医者たち~
【第2回】斎藤先生がこっそり教える 歯医者のホント~「歯科の駆け込み寺」~
■「リコール」主体経営のツケ
「世界史的に見ても、パンデミックは戦争です。もちろん、1953年生まれの私には戦争の体験はありませんが、まさにいま、戦時下にあるのだと思います。この戦時下に歯医者に通う人はどれくらい、いるのでしょうか」
歯科医療界のご意見番、斎藤正人歯科医師は、新型コロナウイルスが業界に与える影響は甚大だと指摘する。
「わたしのところも予約のキャンセルはありますが、ほとんどは遠方からの患者さんで、数はそれほど多くない。しかし、商売っ気たっぷりに、手広くやっているところは、キャンセルが相次いでいる。そうした歯科医院では、すべてがどうしても必要な治療をしているわけではない。というよりも、必要ではない治療のほうが多いくらい。患者さんの側も戦時下なのに、爆弾が落ちてくるかもしれない場所にわざわざ足を踏み入れたくはない。すぐに診てもらわなくてもかまわないのなら、今回はパスしておこうということになるわけです」
どうしてもいまでなければならないという歯科の治療は、医科に比べてそれほど多くはない。緊急性がなければ、この状況下では、あとまわしになるのは当然。歯科医院はリスクを背負ってまで訪れる場所ではないというのだ。
「特にリコールに力を入れている歯科医院には大打撃になっている」と斎藤歯科医師は話す。
製品や自動車のリコールは、不具合があった場合に回収して無料で修理することだが、歯科のそれは意味が違う。口腔内の定期健診やメンテナンスに来るように、ハガキや電話で患者に連絡することを、歯科ではリコールと呼ぶ。歯科医院によってその間隔はまちまちだが、3ヵ月ごとというパターンがもっとも多い。
好意的にとらえれば、その歯科医院がアフターケアをしっかりやっているということになる。しかし、あからさまに言ってしまえば、それは歯科医院の営業戦略であり、儲ける手段である。歯科医療コンサルタントが売上を伸ばしたい院長に勧めるのが、このリコールなのだ。「リコールを増やしなさい」や「リコール率を上げなさい」はコンサルタントの決まり文句。なお、リコール率とは、はがきや電話で定期健診を促された患者が実際に歯科医院に来る割合だ。