職場が変わってもいつも「仕事が遅い」と言われるのが悩み。どうすれば早く仕事をすることができるの?【角田陽一郎×加藤昌治】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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職場が変わってもいつも「仕事が遅い」と言われるのが悩み。どうすれば早く仕事をすることができるの?【角田陽一郎×加藤昌治】

「お悩み"あんちょこ"相談会 」第2回

 

仕事を前に進める「時間の使い方」

 

角田:全然違う角度からですが、質問者の方の仕事がどうか分からないんですけど、僕個人はと言うと、逆に時間に追われた方が仕事が上がるんですよ。何が言いたいかっていうと、「締め切りって必要だな」と思うんです。締め切りがない仕事って延々とやらないので。

加藤:確かに。

角田:出版社さんと本を書く話をする時に、「まあいつでもいいですから」って言われると本当にいつまでも書かないわけですよ。だから本当にもう、締め切りは何月何日までだと言ってくれ、と。言ってくれたら、原稿上げないほど人間悪くないから、って編集者さんによく言うわけです。

 なので質問に戻ると、「自分は時間がかかります」と言うよりは、「この仕事はここまでにやる」という締め切りをどう作るかをやってみてはどうかと。

 上司に作ってもらうのか、その部署で作ってもらうのか、自分で決められるのか、それは分からないけど、「この日までにこれをやる」と決めてしまって、そこからあくせくするってスタイルはどうかなと、提案です。

 

加藤:それに似た話でいうと、過去の資料を読む時とかに、わざと「5回読む」と決める。

 本もそうだと思うんですけど、なんか、1回でちゃんと読みたくなるじゃないですか。でも、受験とかでも、よく同じ参考書を何回もやるでしょう?

角田:やる人いますよね。

加藤:学生の時はそれで成績上がったんだよね? じゃあそのメソッドを仕事に持ち込んだらどうなのか。ちょっと自戒の念を込めて云うと、やっぱり過去の報告書を1回しか読んでないこと、多いですよね。

 それを5回読むようになったら、「1回読んだから、正の字の一を書いて」くらいのライトな感覚になる。5回読むことを前提にして読んでいったら、1回あたりのグーっと「集中しなければいけない」感じが、多分減ると思うんです。でも最終的には5回見てるから、見落としもなくなるわけでしょう?

 つまり、「1回で全部やろうとする感覚を捨てる」のはどうでしょうか。最初から5回読まなきゃと思ったら、いい意味で手を抜いたり、1回目はもうバーっと斜め読みみたいにしたりとか。

角田:あー、なるほど。毎回根詰めて5回読む必要ないんだね? 5回読むって決まってるから、1回目は軽くていいや、とか。それは心理的に楽になるよね。

加藤:しかも、根詰めて1回読むより、時間はそんな変わらないかもよ、みたいな。「エビングハウスの忘却曲線」みたいな話でさ。

角田:意外にね。そんな感じするなあ。

加藤:まあばかばかしいかもしれないけど、5回って決めてやってみる。20回とかじゃなくていいと思うんですけど。

 ……という、「写経」の別バージョンですよね。

角田:そうそう。井上ひさしさんも、「好きな文章を写経することが一番文章が上手くなるコツだ」って言ってたよ。

  

■閑話休題。字、書いてますか?

 

角田:ちょっと話は変わるんだけどさ、写経ってPCでやっちゃわない? 加藤君は手書きする?

加藤:ああ、それはどっちでもいいと思う。

角田:どっちでもいいと思うじゃんか? 僕もそうだったんだけど、大体皆PCで文章打ってるから手書きしないじゃん。本書くのもずっとPCじゃんか。最近手書きってやってる?

加藤:やってるやってる。

角田:……まあ加藤君はやってそうだね。

 それでね、ほら、僕は今大学に通ってるわけですよ。それで、大学の試験あるから手書きでやんなきゃと思ったら、手が疲れて書けなかった。

 試験時間が2時間とかあるわけで、何を書いたらいいか分かんないから書けないんじゃなくて、書いてるうちに手が疲れて。

加藤:面白いですね。

角田:これ、「文章は手で書き続けなきゃいけないな」って思ったよ。そうしないと、なんか筋肉が劣化する。

加藤:それ分かる、俺も最近、手書きの時手が震えるもん。

角田:でしょ? もうだんだん身体がじいさまみたいになってるんだね。

 

(構成:甲斐荘秀生)

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角田 陽一郎/加藤 昌治

かくた よういちろう かとう まさはる

角田 陽一郎(かくた・よういちろう)

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者 

千葉県出身。千葉県立千葉髙等学校、東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」「オトナの!」など主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社を設立(取締役 ~2013年)。2016年TBSを退社。映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出、「ACC CMフェスティバル」インタラクティブ部門審査員(2014、15年)、SBP高校生交流フェア審査員(2017年~)、その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。現在、東京大学大学院にて文化資源学を研究中。著書に『読書をプロデュース』『最速で身につく世界史』『最速で身につく日本史』『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか』『人生が変わるすごい地理』『運の技術』『出世のススメ』、小説『AP』他多数。週刊プレイボーイにて映画対談連載中、メルマガDIVERSE配信中。好きな音楽は、ムーンライダーズ、岡村靖幸、ガガガSP。好きな作家は、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、司馬遼太郎。好きな画家は、サルバドール・ダリ。

                                                             

加藤 昌治(かとう・まさはる)

作家/広告会社勤務

大阪府出身。千葉県立千葉髙等学校卒。1994年大手広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』(CCCメディアハウス、2003年)、『発想法の使い方』(日経文庫、2015年)、『チームで考える「アイデア会議」考具応用編』(CCCメディアハウス、2017年)、『アイデアはどこからやってくるのか 考具基礎編』(CCCメディアハウス、2017年)、ナビゲーターを務めた『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社、2012年)がある。           

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